2020 Fiscal Year Research-status Report
幼児の音楽的モチベーションを高める表現遊び指導法の開発
Project/Area Number |
20K02849
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
水崎 誠 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (50374749)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 幼児 / モチベーション / 表現遊び |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,研究1年次として,本研究主題にかかわる文献調査をすすめた。「音楽的モチベーション」の基本的考え方に関しては,Hallam(2002)が国際雑誌「Music Education Research」に示した内容の検討をした。「音楽的モチベーション(Musical Motivation)」とは,「聴く、歌う、弾く等の音楽的行動を引き起こす動機」のことを意味する。Hallamは,音楽的モチベーションに影響する要因を整理してモデル化し,そこに「環境要因」を明確に位置付けた(p.233)。Hallamは,音楽的モチベーションには対象者の個人内要因だけではなく,対象者を取り巻く環境要因が大きく影響すると指摘し,この環境のなかに幼稚園等を含む学校や音楽教室の音楽指導を含めた。このHallamの考え方は,本研究の理論的背景として十分に機能するものと考えられた。また「Musical Motivation(音楽的モチベーション)」に関しては,我が国での研究状況は現在でも少なく,特に幼児においては未検討であることが明らかになった。「表現遊び」の状況については,市販されている音楽教材の分析から,その実際を調べた。その結果,「既成の曲を再現する型の遊び」が従来通り中心とはなっているが,その中には即興性を重視したリズム遊びなどもあった。 一方,表現遊びを分析するための方法についても検討した。その結果,アノテーションツールELANを活用することの有効性が示された。このELANの分析の一部については,オンライン研究会(幼児音楽研究会講演)で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の拡大により,幼稚園等のフィールド調査が十分にできていない。また学会等も中止になり,論文発表前の最新の研究情報が収集できていない。これらが主な理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
フィールド収集したデータをELANで分析した結果については,学会等で発表し,論文投稿へとつなげる。また新しいデータを収集するために,幼稚園等と調整をし実施していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い,予定していた国際学会が中止となり,また国内における視察調査も中止となった。これらにより「旅費」の支出がなかった為。
使用計画については,現在でも国際学会参加は難しい状況のため,国内学会を中心とした資料収集・発表に充てる。国内学会では,人数を制限したうえで,対面も可能になっており,そこで旅費として算出する予定である。
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