2020 Fiscal Year Research-status Report
協調的な批判的思考に対人関係スキルが及ぼす影響の検討
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20K02851
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
石川 真 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (60318813)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 対人関係スキル / 協調的 / 社会的スキル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、実社会に活かせる協調的な批判的思考に対人関係スキルが及ぼす影響について解明することを目的とする。当該年度においては、協調的な批判的思考をする上で、論理的、客観的に思考する上で、自分の考えとは異なる場面の振る舞いに着目した。そして、他者と意見が相違する二つの異なる場面を設定した。いずれも意見が異なる相手とのやり取りの場面であるが、一つは相手が自分の意見をなかなか受け入れない設定であり、もう一つは、相手が自分の意見をある程度受け入れる姿勢を見せる設定を採用した。また、対人関係スキルの測定にあたっては、社会的スキル尺度、基礎スキル・対人スキルの測定尺度、社会的クリティカル・シンキング志向性尺度等の複数の尺度を用いて、対人関係スキルと批判的思考過程における協調的行動との関係性や傾向を探った。 相手が自分の意見をなかなか受け入れない場面においては、概ね協調的な振る舞いをする傾向が示された。また,社会的スキル、対人関係の基礎となる主としてコミュニケーションに関わるスキル、対人スキルの高い者ほど協調的な振る舞いをする傾向が示された。さらに、自分の意見を主張する者ほど協調的な振る舞いをする傾向が明らかとなった。もう一つの相手が自分の意見をある程度受け入れる姿勢を見せる場面においては、一部を除いては概ね協調的な振る舞いをする傾向が示された。また,相手の意見を受け入れる許容性の高い者ほど協調的な振る舞いをする傾向が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初想定されていなかった、新型コロナウィルス感染症への対応に関わる各種業務等に従事することに伴い、本研究に対するエフォートが大幅に減少した。そのため、文献調査に関わる研究においては、当初の計画よりもやや遅れている。一方で、質問紙調査においては、限定的ながらも実施し、当初の計画ほどではないものの成果が得られたことから、概ね順調に進展していると判断している。以上のことより、総合的にやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度に行った質問紙調査については、分析結果・研究成果を発表(学会、研究紀要への投稿等)する。次年度は前年度に十分に行えなかった文献調査研究を重点的に取り組んでいく。その上で、当該年度に実施した質問紙調査の結果を踏まえつつ、協調的な批判的思考の要素に新たな知見を採用した質問紙調査を実施する。現時点においても、新型コロナウィルス感染症の影響があるため、その状況を考慮しつつ必要に応じて対応をはかることとする。 年度末においては、実施した調査結果をとりまとめ、成果の発表(研究紀要等への投稿)を行う。さらに、その成果を踏まえて、研究計画を再検討する。
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Causes of Carryover |
(理由)当該年度においては、新型コロナウィルス感染症の感染拡大の影響により、参加予定であった学会の全国大会がオンラインで実施された。そのため、旅費の支出がなかった。また、調査の実施にあたっても、すべてオンラインでデータを直接得られたことなどから、人件費等の支出がなかった。このような事情により、当初よりも支出が減った。 (使用計画)次年度においても、新型コロナウィルス感染症の影響により、学会の全国大会がオンラインで実施されることに伴い、旅費等の支出がなくなる可能性がある。また、調査等に伴う人件費についても支出がなくなる可能性がある。そのため、次年度以降においても、繰越が発生する可能性が高い。そうした点を踏まえつつ、計画的に使用していく。
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