2023 Fiscal Year Research-status Report
「書くこと」における言語感覚(適否)の数値的可視化に基づいた教育内容の構築
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20K02861
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Research Institution | Hokkaido Bunkyo University |
Principal Investigator |
矢部 玲子 北海道文教大学, 国際学部, 准教授 (40633376)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 麻裕子 早稲田大学, グローバルエデュケーションセンター, 准教授 (40648317)
桐山 聰 鳥取大学, 教育支援・国際交流推進機構, 准教授 (70423423)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 言語感覚(適否) / 国語教育 / 「書くこと」 / 教育内容 / 数値的可視化 / 高大接続 / 生成AI |
Outline of Annual Research Achievements |
大学生と国語科担当教師を対象として実施した、「文章作成指導経歴調査」で得られた情報から、「書くこと(適否)」に関する言語感覚指導の傾向と教師の意識を可視化した。その成果が「研究報告」として掲載された(文理シナジー学会 令和5年10月)。 また本研究初年度に実施した、国語科教育関係者とその他分野の教育関係者、更に教育関係者以外の一般人対象の、「言語感覚における意識調査」回答の自由記述部分を、自然言語処理により分析した。その結果、国語教育関係者とそれ以外の人々の間に意識差が確認されたが、国語教育関係者の意識に明確な傾向は見出せなかった。左記を発信し、得られた批判を教育内容修正に活かした(第145回全国大学国語教育学会信州大会(令和5年11月)発表1件、第30回大学教育研究フォーラム(令和6年3月)発表2件)。 日本国語教育学会からの依頼で、令和5年度高等学校部会第84回研究会にて「高大接続の観点から言語感覚指導を考える」というテーマで代表と分担者で招待講演を行った(令和5年12月 講演3件)。 2023年4月より活動を開始した、「ライティングにおける『言語感覚』研究会(公益社団法人日本工学教育協会)」では、オンラインによる定例的な打合せを2023年4月から2024年4月現在まで26回開催し、口頭発表や論文投稿の内容協議や各自の文章作成支援の取り組みなどについて、情報共有とディスカッションを行った。またその成果を、上記「全国大学国語教育学会」で、JSPS科研費JP21K02914と共同発表1件を行った。 さらに、研究成果を広く公開するため、ウェブサイトを作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の理由により研究の進捗を証明する。 新型コロナウイルスの5類移行に伴い、対面・オンライン開催共に参加や発表が可能となり、調査の分析結果を発表することができた。そこで得た指摘などを活かして執筆・投稿した論文が、雑誌に掲載された。 また、日本国語教育学会高等学校部会より講演の招待を受け、代表・分担者で、研究内容を合計3件発表できた。 さらに2023年4月より活動を開始した、公益社団法人日本工学教育協会の研究会活動「ライティングにおける『言語感覚』研究会」への外部参加者と共に成果を発表できた。
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Strategy for Future Research Activity |
この1年で大きく発達した生成AIとの関わり方、特に「プロンプト(ユーザーがAIに入力する命令や指示。この場合は文章)」作成、すなわち書き言葉の選び方の重要性、出力された文章の適切さを検討する力の重要性、これら二点が最近指摘されている。この点を踏まえ、適否に関する言語感覚の指導に関する教師の意識から、その教育内容を新たな視点で捉え直して、分析を発展させていく予定である。 具体的には、これまでに収集・蓄積してきたデータへの質的分析を深め、書くことにおける「言語感覚」と生成AIとの関わり方を、新たに研究方法に反映させ、発表や論文投稿を予定している。さらに書籍化や、「書くこと」における言語感覚(美醜)の数値的可視化に基づいた教育内容の構築も検討している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、発表を予定していた学会発表など、宿泊を伴う出張が、主催者側によって相次いで中止された。2023年5月に5類に移行ししたため、対面開催の学会復活が期待されたが、オンラインのみの開催や、対面との並行開催の形式が定着しつつある。以上が次年度使用額が生じた理由である。 2023年度は、新規学会への入会、学会での発表や情報交換、論文執筆や投稿などを、積極的に行ってきた。次年度もそれらを継続する計画である。
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