2022 Fiscal Year Research-status Report
Society 5.0 時代の経済教育と日韓合同研究による授業単元・副教材開発
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20K02884
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
裴 光雄 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (60263357)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Society 5.0 / 第4次産業革命 / 経済教育 / SDGs / 民主市民教育 / 社会科教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、2022年10月1日に開催された経済教育学会第38回全国大会に基調講演者として招聘された、韓国経済教育学会長で慶尚大学校教授である金景模氏の基調講演「SDGsと経済教育」を通訳し、発表用のパワーポイントスライドの監訳を行った。なお、金教授は経済教育と関連したSDGsを熟考する視点として、SDGsと関連した経済敎育の内容の範囲、方法、評価をどのようにすべきか、について指摘を行っている。 次に、久井田直之 他『アジアから世界経済を捉えるオンライン経済学教材の開発』に、Chapter 2 Production and trade trends in the Korean flower industry を執筆した。韓国花卉産業の現況を主管官庁、統計庁等の各種基礎データーに拠りながら、生産と貿易動向から金額ベースで分析・考察した。第4次産業革命(Society 5.0)が韓国の花卉産業に及ぼす影響を捉えながら、論じている。今後の研究すべき課題としては、①韓国花卉協会、韓国花卉農協、韓国花卉流通協会等の業界・団体が国会議員へのロビー活動等で果たしている役割、②生産農家と農協と関係、③花卉の需要側の分析、④FTAとの関連ではコロンビアからの輸入動向などを指摘した。なお、同英語論文は『コリアン・スタディーズ』(国際高麗学会日本支部)第9号、2021年6月に発表した、日本語論文「韓国花卉産業の生産と貿易動向」を基礎にしている。 最後に、「日本の民主市民教育に関する一考察 -韓国の民主市民教育を念頭に置きながら-」を記した。Society 5.0社会を考える時、SDGsの視点に加え、社会科教育からは、民主市民教育の視点が不可欠である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Society 5.0時代の日韓経済教育の比較研究については、2022年度の課題であった、①日本の高校公民科「公共」(2018年改訂学習指導要領)と韓国の高校社会科「統合社会」(2015年改訂教育課程)が共に必修科目として誕生する学術的背景を明らかにすること、②「公共」の学習指導要領と「統合社会」の教育課程の内容・構成を経済領域に焦点を当て明らかにし、特徴を抽出すること、③「公共」教科書と韓国の「統合社会」教科書のそれぞれの経済領域の記述内容、データ表示等を比較検討し、特徴を捉えること、④経済領域の中でもSociety 5.0時代のニューエコノミーの態様について、日韓のそれぞれの特徴を描き出すこと、⑤日韓の教科書比較は全ての検定教科書を対象に行うこと、これらの作業に関しては、自身の研究ノートを作成することはできたが、研究業績として、発表するまで至っていない。研究成果の発表ができていないということで、自己点検を「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは「公共」と「統合社会」の比較研究の研究成果を著す。次に、日本の高校公民科「政治・経済」と韓国の高校社会科「経済」の比較研究を行う。 Society 5.0時代の進展は、内閣府や文科省が想定したよりも格段に速いと思われる。とりわけ、Chat GPTにみられるAI・人工知能の発展は目覚ましい。 この分野の発展・技術進歩が、人間の知的労働をいかに変容させていくのか、光と影の両面から捉えつつ、追加課題として設定し、考察・分析する。
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Causes of Carryover |
コロナ感染がまだ終息しておらず、研究対象国である韓国へ現地調査に行けなかったことおよび韓国から研究者を招聘できなかったため、研究費使用ができなかった。 今年度は韓国経済学会の全国大会および現地調査のため、複数回に亘る訪韓を予定している。また、韓国研究者2名程度の招聘を予定しているので、科研費を十分に使用することになる。
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