2021 Fiscal Year Research-status Report
The relation between teaching materials for art and comprehensive learning: taking the concept of "play" into consideration in art education
Project/Area Number |
20K02885
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
宇田 秀士 奈良教育大学, 美術教育講座, 教授 (20283921)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 図画工作科 / 美術科教育 / 包括的な学び / 総合的な学習 / 「遊び」概念 / アートの拡がり / 内発的な動機付け / 造形遊び |
Outline of Annual Research Achievements |
課題1 <図画工作・美術科題材と「包括的な学習」(「総合的な学習」,ESD,STEAM教育など)>との関係性の理論的な整理については,<アート概念の拡がり>を根底におく「包括的な学習」を視野に入れて文献研究を行い,「沢野井信夫の「あそび」を活かした美術教育の構想」と題し,奈良教育大学『次世代教員養成センター 研究紀要』に発表した。1950年代の沢野井の構想は,いわば社会教育の立場からの発想であるが,子供の生活を視野に入れた「包括的な学び」を提示しており,現在の教育課題にも通じる内容があった。民間教育運動の活動や造形作家が発信した一般向け美術書の内容もふまえ,引き続き調査・考察していく。 またドイツの芸術教育と初等教育における事実教授(Sachunterricht)などいわゆる総合的な学習との関連については,ドイツ・ハイデルベルク教育大学のウアラス教授(Mario Urlas)の初等教育における実践・提案を引き続き整理し,考察の材料とした。 課題2では幼小中高の教員並びに造形教室主宰者などの研究協力者とともに研究題目に関する<題材・授業モデル>開発を行うが,この場で課題1の成果をふまえ,「遊び」概念を内包した<題材・授業モデル>開発を継続するとともに,図画工作・美術科の特質と「包括的な学習」が融合した授業実践ならびにカリキュラムについての討議を行った。上記,沢野井の構想にみられる実践を追実践しての考察,現代美術作家原田要氏を招いての石膏を用いた研修とそこからの題材開発,絵本や映像を絡めた実践の考察などを行った。 課題3 課題1,2の成果をふまえた<現職教員>と<プレ教師教育段階にある大学教育>のプログラムに関しては,とりわけリモート教育に資する内容を開発・実施した。教員や学生が自宅でも実技体験ができる材料,用具,設備などについて考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度に引き続き,新型コロナ感染症への対応で,国内外の出張調査が取りやめになり,また幼小中学校の協力を得ての教育実践研究を控えるなどしたためである。ただ,やや改善の兆しがあり,一部,研究協力者を通じての実践・検証を行ない始めた。また,資料・史料収集およびその内容整理など文献研究を中心に基盤的な研究も昨年度に引き続き行ない,成果発表の段階に入っている。
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Strategy for Future Research Activity |
課題1に関しては,この先も新型コロナ感染症の影響は続きそうな気配であるが,予防対策をしながら国内外の出張調査は最低限実施する方向を考えている。また,昨年度に引き続き,対面調査のほかリモート調査を併用させて対応する。 そして,<アート概念の拡がり>を根底においた「包括的な学習」を考察する意味で,ドイツ・ハイデルベルク教育大学のウアラス教授(Mario Urlas)の初等教育における実践・提案の整理をさらに続ける。また,第2次世界大戦後の関西地方における「遊び」に関する美術教育実践に関連させ,沢野井信夫の美術教育発表著作について,1950年代から60年代の民間美術教育運動や長谷川三郎,岡本太郎などの一般向け著作と関連させて考察し,発表する。 沢野井の著作に見られる美術教育と子供を取り巻く社会や生活との関わりは,現在の教育課題にも大きな示唆があると考えている。 課題2に関しては,「遊び」概念をふまえた<題材・授業モデル>開発を継続するとともに,教科の特質と「包括的な学習」が融合した授業実践ならびにカリキュラムについて研究協力者と継続した討議を行い,各勤務校において,可能な範囲で試行的な実践をし,考察をする。 課題3に関しては,課題1,2の成果をふまえ,<現職教員>と<プレ教師教育段階にある大学教育>のプログラムを開発・実施する。これまでに引き続き,リモートに適した内容,実技材料を検討し,実施する。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症対応で,国内外の出張を伴う調査が取りやめになり,また教育現場の協力を得て行う実践的な研究が十分に行えなかったためである。ただ,やや改善の兆しがあり,一部は,研究協力者を通じての実践・検証を行ない始めた。また,資料・史料収集およびその内容整理など文献研究を中心に基盤的な研究も引き続き行ない,成果発表の段階に入った。したがってこれらの研究成果発表の費用を計画した。 この先も新型コロナ感染症の影響は続きそうな気配であるが,課題1に関して,感染症予防対策をしながら国内外の出張調査は最低限実施する方向を考えており,出張費用を計画した。また,昨年度に引き続き,対面調査のほかリモート調査を併用させて対応するが,そのためのリモート機器,ソフトなどの整備を継続的に図るための費用を計画した。 また課題2に関しては,研究協力者の協力を得て,可能な範囲で実践・検証を行うが,そのための題材開発材料・用具や開発機器に使用する。課題3に関しては,課題1,2の成果をふまえ,<現職教員>と<プレ教師教育段階にある大学教育>のプログラムを開発・実施する。これまでに引き続き,リモートに適した内容や実技材料を試行するための材料開発費,リモート機器・ソフト費用の計画をした。
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Research Products
(7 results)