2021 Fiscal Year Research-status Report
数学学習における構成的な学習と教授的な学習による学習過程の理解に関する比較研究
Project/Area Number |
20K02888
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
吉村 直道 愛媛大学, 教育学部, 教授 (90452698)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 構成的な学習 / 教授的な学習 / 理解の定着 / 話し合い |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度、本研究に関する特設授業を、研究協力校の協力を得て下記の通り実施した。 ①21年6月、小学校第6学年、3クラス、「分数の除法」、②21年11月、小学校第5学年、3クラス、「部分の平均と全体の平均」、③21年11月、小学校第6学年、3クラス、「比例のグラフ」、④21年12月、中学校第1学年、4クラス、「最短経路の作図」、⑤22年1・2月、中学校第1学年、4クラス、「柱体の体積」、⑥22年2月、小学校第5学年、3クラス、「速さ」 どの単元についても、構成型の授業と、教授説明型の授業の2つを取り組んだ。その授業記録(映像)とそこでの発言内容を記録したプロトコルを資料として蓄積した。今後は、それらを資料として、それぞれ授業分析とパネル調査に取り組む予定である。さらに、次年度においても同様の特設授業に再度取り組み、データの蓄積を2倍に増やすとともに、パネル調査の対象者の拡大を図る予定である。実施した特設授業を通して、構成的な学習を目指した場合、授業の最終到達の内容がどうしても教授型と比べて不十分なものになりやすく、教授型の授業と同等に比較するのが難しいと判断されがちであることがわかった。よって、次年度実施の特設授業においては、構成型の特設授業を行う際、学習者の主体性を減じない範囲で、授業目標に対して意図的かつ効果的な教師の上手な介入について検討をして取り組まねばならないことがわかった。さらに、学習者のワークシートについて、教授型の特設授業では展開に即した構造的なものが用意でき学習者にとってストレスなく授業記録をしながらその特設授業に参加することができるが、構成型の特設授業では授業展開が多様に想定され、汎用性をもったノートの取り方やワークシートの作成が難しいことが、特設授業を通じて実感された。次年度は、構成型の特設授業で利用するワークシートの改善やノートの取り方の指示改善が課題である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は令和2年度を1年目とするものであったが、令和2年度は新型コロナ感染拡大の影響を受けて、研究協力校に特設授業をお願いすることが出来なかった。そこで、基本的に、1年分研究計画を後ろにずらして取り組んでいる状況である。 つまり、研究1年目の令和2年度の内容を、今回令和3年度に取り組んでいる。1年分の遅れで進めている現状にある。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和3年度に行った特設授業と同様の特設授業を、令和4年度の児童・生徒にも行い、パネル調査の対象者を拡大する。その際、構成型の特設授業については、教師の介入のしかたとワークシートの改善を図った上で実施する。 加えて、昨年度実施した特設授業のうち、2単元分については、1年経過後のパネル調査に取り組み、そのデータの蓄積に取り組む。 そして、1年後経過のパネル調査の結果を分析し、途中段階での研究成果の発表に積極的に取り組むことを予定している。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大のために、令和2年度、研究協力校にお願いするはずであった研究1年目の特設授業を基本的にすべて翌令和3年度に持ち越しにしており、その影響より繰り越しする金額が発生した。令和4年度では、ずれ込んだ調査研究の授業記録のかき起こし費用と分析費用に、これらを適用する予定である。
|