米国カリフォルニア州における黎明期多文化音楽教育に関する基盤的研究

2020 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 20K02889
• Research Institution: Saga University
• Principal Investigator: 荒巻 治美 佐賀大学, 教育学部, 准教授 (40315180)
• Project Period (FY): 2020-04-01 – 2023-03-31
• Keywords: 多文化音楽教育 / 米国

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、米国カリフォルニア州における黎明期多文化音楽教育の基盤について明らかにすることを目的としている。本研究課題は、科学研究費補助金によって遂行した「生活主義音楽教育における創造性開発理論についての基礎的研究」「創造性開発理論を目指す生活主義音楽カリキュラム編成に関する研究」「創造性開発を目指す生活主義音楽科授業構成に関する研究」「米国ワシントン州における多文化音楽教育の原理に関する研究」「米国西部地区における多文化音楽教育の形成過程に関する研究」など、これまで行った一連の研究成果を基盤としている。とりわけ、前研究に取り組んでいる中で、多文化音楽教育の本質を解明するためには、更にカリフォルニア州に焦点化し、その黎明期における在り方を明らかにする必要性が生じた。本研究では、黎明期における多文化音楽教育の在り方をカリフォルニア州の歴史的・社会的・文化的背景から多角的に分析する。具体的には、次のようなことを行う。それは、多文化音楽教育に関して先行研究で明らかになっていることを整理すること、国内外で入手できるカリフォルニア州における多文化音楽教育に関する資料の探索・収集を行うこと、カリフォルニア州の黎明期における多文化音楽教育の在り方、及び、我が国における多文化音楽教育への示唆について分析・検討・報告すること、である。本年度は、初年度であるため、これまでの一連の研究成果を確認するとともに、そこから黎明期に対する研究の視点と方法を導き出した。それに基づいて、今後の研究計画を策定し、検討を始めるための基盤を固めた。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の研究計画に基づいて初年度は、次のようなことを行った。１）過年度の研究成果や資料収集状況を確認し、今後の研究の在り方や進め方を検討した。多文化音楽教育に関する収集済みの資料を確認し、今後の黎明期の研究を進めていく上で必要となる資料を抽出し整理した。２）米国における多文化音楽教育全般に関する資料の収集を行った。
本年度は、文献調査を中心とした研究を目指していたため、おおよそ計画通りに進めることができたといえる。資料収集のための手段ではあるが、米国における現地調査が新型コロナウイルス感染症拡大にともなって予定通り行うことはできなかった。他方で、米国多文化音楽教育の黎明期を研究対象としていたため、データベース化が進んでいることもあり、初年度の研究に関しては、あまり影響を受けなかったのではないかと思われる。

Strategy for Future Research Activity

昨年度は、研究の基盤を固め、具体的な検討を進めるための基礎的な作業を行なった。それを踏まえて、本年度は、次のような計画で研究を推進する。1）当年度に収集すべき資料を確定する。前年度の研究により明らかになった課題を踏まえて研究計画を策定する。2）研究を進めていく上で新たに必要となる資料のために、国内や米国に出張する。3）当該年度の成果の確認と今後の在り方を検討する。ただし２０２１年度も、新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中で、米国への出張は困難であると思われるので、資料収集のためにデータベースを探索し利用していく予定である。

Causes of Carryover

（理由）次年度使用が生じた理由は、次のとおりである。国内で入手困難な資料収集のための米国出張を予定していたが、新型コロナウイルス感染症拡大を受けて米国への出張が困難となったためである。しかし、現在、歴史的資料についてもデータ化による公開が進んでおり、研究初年度に収集を計画していた資料に関しては、国内でも収集することができた。
（使用計画）過年度の研究成果の分析・整理を経て浮かび上がった資料を新たに収集する必要が生じている。その研究整備のため十分な経費が必要となる。