2021 Fiscal Year Research-status Report
Adaptation in School Subject "Japanese"
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20K02892
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
木村 陽子 大東文化大学, 文学部, 准教授 (20736045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 久美子 武蔵大学, 総合研究所, 研究員 (00879835)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アデプテーション / 国語教育 / 日本文学 / 伝統的な言語文化 / 学習指導要領 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究第2年目である今年度の研究実績は、大きく以下の4点(①~④)にまとめられる。 (1)「文学国語」「言語活動例エ」に資する教材の開発を目標に、日本文学の作品群や作家を「アダプテーション」の視点から捉え直す試みを継続的に行い、成果の一部を以下の単著論文へと結実させた。①「「かぐや姫」のアダプテーション―アニメと小説による「物語の祖」への応答―」(2022年2月『大東文化大学紀要』)。 (2)高校国語の新学習指導要領では「言語活動例」として多様な「アダプテーション」課題が盛り込まれているが、そのような「アダプテーション」概念がどのような背景から積極的に日本の「伝統的な言語文化」として位置づけられるに至ったのかを調査・分析し、成果の一部を以下2点の業績(単著論文1、国際学会発表1)へと結実させた。②「高校国語におけるアダプテーション―新学習指導要領(令和4年実施)における改善点―」(2021年12月『大東文化大学教職課程センター紀要』)。③「日本文学の〈伝統〉としてのアダプテーション―国語教育における連続史観へのパラダイムチェンジ―」(2021年11月3日、上海、2021年度「日本語教育と日本学研究国際シンポジウム」) (3)本研究課題より研究分担者として加わった古典文学の研究者である石川久美子氏が、昨年度に実施した〔学習指導要領・国語〕に記述されたアダプテーション(翻案)への言及内容を確認する勉強会の成果を、以下の単著論文へと結実させた。④「国語教育と日本古典文学研究(古代・中世)におけるアダプテーション(翻案)の研究史」(2021年9月『武蔵大学総合研究所紀要』)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に進展した最大の理由は、初年度には1年を通じてコロナ禍の影響を受け停滞を余儀なくされた作家(脚本家)や教科書編纂関係者へのインタビュー取材、および国際学会への参加や学会発表などが、ZOOMやテンセント等のWEB会議ツールの充実によって、環境の点で大きく改善が図られたことである。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度の研究課題としては、大きく以下の2点を目標として掲げたい。 第一に、次年度も引き続き「文学国語」「言語活動例エ」に資する教材の開発および成果を論文化することである。前掲「言語活動例エ」では「演劇や映画の作品と基になった作品とを比較して、批評文や紹介文などをまとめる活動」が求められているが、次年度もこれにかかわる研究を続行する。具体的な作家や作品の選定はこれからであるが、選定基準としては、①主として高校の国語教科書に今後取り上げられる可能性の高い作品であること、②これまでに最低3作以上、原作が映画化や演劇化、テレビドラマ化され、かつDVD化され購入可能であることとする。 第二に、前研究課題から継続している原作とその映像化された作品をアダプテーション理論に基づき分析する研究を、次年度も引き続き続行することである。2021年12月に、研究代表者は脚本家の奥寺佐渡子氏にアダプテーションに関するインタビュー取材を行った。次年度はまず、その成果の論文化から着手したい。
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Causes of Carryover |
今年度も昨年度に引き続きコロナ禍ではあったが、前述のとおりWEB会議ツールの充実等により、インタビューや国際会議が対面からWEBツールでの実施に変更となり、その分、旅費や宿泊費等の諸経費を削減できたことから、次年度使用額が生じた。ただし、次年度は対面でのインタビューや会議への参加の頻度が増えることが予想される。 次年度使用額は、主として論文執筆に必要となる各種教師用指導書や参考文献の購入費、資料複写代に加えてインタビュー謝金や学会参加費などを予定している。
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