2023 Fiscal Year Research-status Report
Adaptation in School Subject "Japanese"
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20K02892
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
木村 陽子 大東文化大学, 文学部, 教授 (20736045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 久美子 武蔵大学, 総合研究機構, 研究員 (00879835) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アダプテーション / 翻案 / 高校国語 / 国語教科書 / 伝統的な言語文化 / 連続史観 / 学習指導要領 / 日本文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究第4年目である今年度の研究実績は、大きく以下の2点にまとめられる。 (1)高校国語「言語文化」の教科書を刊行している9社のうち、インタビュー(メールも含む)に応じてもらえた数社から得られた情報の精査を終了した。また現在刊行されている19冊の「言語文化」教科書に掲載されている全「アダプテーション」課題175例の内容を吟味し、7つのカテゴリーに分類するとともに、出版社別の「アダプテーション」課題の数や特徴の比較を一覧化した。成果の一部は以下の単著論文へと結実させた。①「高校国語「言語文化」教科書9社17冊の検証―アダプテーションという〈伝統〉が支える連続史観―」(2024年2月『大東文化大学紀要〈人文科学〉』第62号,55-74ページ)。 (2)2006年の改定教育基本法で強調された「伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育」が、高校国語において、2009年、2018年と2回の「学習指導要領」の改訂を経て、「言語文化」教科書に「連続史観」を感得させるための課題として収録されるまでを跡づけた。さらに、「言語文化」教科書に掲載されている全「連続史観」課題99例の内容を吟味し、3つのカテゴリーに分類するとともに、出版社別の「連続史観」課題の数や特徴の比較を一覧化した。成果の一部は以下の単著論文へと結実させた。②「高校国語「言語文化」における現代と古典の架橋―教科書論争が見落とした〈連続史観〉の前景化―」(2024年2月『日本文学研究』第63号,107-120ページ)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度から約2年間コロナ禍の影響を受け、教科書編纂の関係者等へのインタビュー取材がほとんど行えず、研究停滞の主たる要因となった。また予定していた研究分担者の休職により、現代文と古典の両方の調査分析を代表者単独で遂行することになった。さらに、期間中の代表者の計2回の入院(腸閉塞による)も、研究停滞の遠因となった。 しかしながら、4年目の今回は、教科書編纂の関係者へのインタビュー取材も実施し、「連続史観」という新たな切り口による論文を含む2つの論文を発表し、着実に成果をキャッチアップすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は最終年度でもあり、積み残しとなっている前掲「言語文化」教科書の調査分析と並行して行って来た、高校国語「文学国語」の教科書に掲載された「アダプテーション」「連続史観」課題の内容の吟味を進めて、その成果を発表したい。 すでに、教科書編纂の関係者へのインタビュー取材やテープ起こしなどは終えている。具体的な教材の分析はまだ途上であるが、成果の公開に向けて励みたい。
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Causes of Carryover |
研究進捗が遅延していることから、若干次年度に予算繰越が発生した。 最終年度では、教科書外書から追加資料購入を予定しており、すべて費消する予定。
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