2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of a Program for Fostering Empathy and Self-Esteem of Students Wishing to Become Teachers by Role Lettering
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20K02893
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
岡本 泰弘 琉球大学, 教育学部, 教授 (20781644)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 教員養成 / ロールレタリング / 共感性 / 自尊感情 / 教師教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、教職課程を有する大学機関が教職を目指す学生に対して,自らが自己と他者の両者の視点に立ち,手紙による往復書簡を重ねることで,相手の立場で自己を見つめ,その気づきから問題解決を促進させるロールレタリングという心理技法を導入し,教師の資質能力の根幹である共感性や自尊感情を育成するプログラム開発を行うことを目的とする。 そのために,本研究では,具体的に以下のことを3年間の研究期間で解明することとしている。 ① 教師志望学生にロールレタリングを導入し,心理測定尺度を用いて,共感性と自尊感情の変容について信頼性・妥当性のある効果検証を行う。【研究課題①】・・・令和2年度,令和3年度,令和4年度 ② 教師志望学生に対するロールレタリングの効果的なテーマ,時期,時間,回数,評価を検証し,共感性と自尊感情を育成するプログラムを開発する。【研究課題②】・・・令和3年度,令和4年度 令和2年度では,<研究課題①の解明>として,ロールレタリングによる共感性と自尊感情の変容の検討を行った。教師志望学生32名(実施群18名,統制群14名)を対象に,非対面式ロールレタリング(新型コロナ感染症(COVID-19)の影響のため)を8回実施した。測定尺度は,①多次元共感性尺度(鈴木,2008),自尊感情尺度(山本・松井・山城,1982)を用いた。それぞれ2要因の分散分析を行った。その結果,非対面式のロールレタリングではあったが,ロールレタリング実施群で,共感性及び自尊感情ともに有意に上昇した。コロナ渦で研究活動が制限された中であったが、令和2年度に最低限必要であるデータは収集できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は対面式で通常のロールレタリングを実施する予定であったが,新型コロナ感染症(COVID-19)の影響により,WebClass等を用いての非対面式のロールレタリングを実施した。予定通り,ロールレタリングによる共感性及び自尊感情の変容データは収集できた。一方,P.C上で行ったため,ロールレタリングの記述内容を十分に保管できなかったことと,新型コロナ感染拡大防止により県外移動制限が強いられ,本研究で使用するロールレタリング記述コード表(金子,2009)の専門的助言を得ることができなかったこともあり,ロールレタリング記述コード表からの検討は次年度に持ち越すことにした。ただし,コロナ渦における非対面式のロールレタリングにおいて,有効なデータを得られたことは,ロールレタリングの新たな可能性を発見するものとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,<研究課題①>をさらに確実にするために,対面による通常のロールレタリングを実施し,データを収集,分析していくものとする。ただし,新型コロナ感染症の影響も見越して,非対面式によるロールレタリングも準備しておく。その際,P.C上で行ったとしても,ロールレタリング技法の特性上,デリケートな問題ではあるが,インフォームドコンセントを適切に行い,ロールレタリングの記述データを確実に保管するような体制を取っておくようにする。 また,<研究課題②>として,プログラム作成のために,実施者へのインタビュー調査やアンケート調査を行い,ロールレタリングのテーマや時期,時間,回数,評価を検討する。さらに,令和2年度で実証された成果を役割交換書簡法・ロールレタリング学会で発表することを予定している。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染防止のために、全ての学会がオンラインになり、旅費の支出がなかったため。次年度は、オンライン環境を充実する機器及び研究を進める上での図書購入に使用しようと考えている。
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