2023 Fiscal Year Research-status Report
持続可能な学校動物飼育プログラムの開発と評価―ホスティング方式の構築と効果検証
Project/Area Number |
20K02896
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Research Institution | Otemae University |
Principal Investigator |
中島 由佳 大手前大学, 現代社会学部, 教授 (80712835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀井 暁子 静岡文化芸術大学, デザイン学部, 教授 (80711754)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ホスティング飼育 / 学校動物 / 児童への心理的効果 / 動物愛護 / 教育プログラム / ホームステイ型飼育 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホスティング方式の飼育実施とホームステイ飼育の導入:生活科の授業の一環としてホスティング飼育を行っている小学校のうち,大阪府の小学校では校長の退職に伴いホスティング飼育が終了した。福岡県の小学校では年度前に次年度の飼育学年との引継ぎが行われ,新年度より新1年生の飼育が開始され,引継ぎおよび児童の飼育の様子の説明を受けた。また飼育されているモルモットおよび飼育の状況に関する説明をホスティングを担当する獣医師より受けた。6月にはホスティング飼育担当獣医師による検診や飼育方法についての講話・指導が各小学校で行われた。一方で,本科研費研究終了後の持続可能な飼育のあり方を小学校と模索した。具体的には2日以上の学校休業の期間中に児童の家でモルモットを預かり飼育する「ホームステイ」の導入を小学校側と協議。各地域での「ホームステイ」の実施方法を調べて小学校と情報共有するとともに,「ホームステイ」の具体的な計画を策定した。年度半ばより試験的に「ホームステイ」が行われている。 調査:児童への質問票によるデータ採集が飼育前(3月),夏期休業前,2学期(11月),飼育終了時(3月)の4回,各校にて行われた。獣医師に対しては適時,ホスティングの状況・問題点について聴取を行い,ホスティング飼育の問題点を探った。またホスティング飼育とホームステイ飼育の併用を開始したことから,児童及び家庭の反応,飼育の問題点等について協議を行った。また年度末には小学校と,今年度の総括,飼育実施と授業への取入れにおける利点および問題点,今後の飼育の形に向けた課題等を協議した。 本年度における研究の意義と重要性:「ホスティング飼育」を昨年度に続いて継続し,動物飼育の児童の心理に対する効果を引き続き検証するとともに,より持続可能な飼育方法としての「ホームステイ」飼育の模索を開始し,両飼育方法の利点および改善すべき点を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の開始時期がコロナ禍が顕在化した時期と重なったため,当初よりホスティング飼育希望する小学校の数が計画より大幅に下回った。加えて,校内で飼育している他の動物の看護に専念するため,2021年度末を以ってホスティング飼育を断念する小学校が出現したが,新たなホスティング飼育校を募るにあたり,今般のコロナ禍下の状況において,各地域の教育委員会,研究協力者である各地域の獣医師との打ち合わせを行いにくい状況にあった。またコロナ禍に伴い動物飼育に関する行事(ふれあい教室など)を控える小学校も多く,動物飼育活動を控える傾向が各地域で広がる中,新規の動物飼育に手を挙げる小学校の確保が引き続き困難な状態にあり,ホスティング飼育を行う小学校数を増やすことができなかった。研究申請時の計画では4地域4~5校でホスティングを行う計画であったが,結局,初年度は3地域3校でのホスティング実施,2年目は2地域2校,3年目以降は1地域1校へと,計画規模の縮小を余儀なくされた。これにより,当初予定していた分析に十分となる標本数の確保に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
ホスティング方式の飼育では,教員の長期休業中の世話等の負担が削減でき,明治期以来の課題である「休暇中の動物の世話」への有用な解決策の一つを示し得た。その一方で,ホスティング飼育を行う獣医師にかなりの負担がかかること,ホスティング飼育を行いうる条件を満たした獣医師の確保の困難さ,ホスティング飼育にかかる費用負担の捻出等の課題も明らかとなった。自治体等の予算へのホスティング飼育の組み込みも困難であることから,新たな持続可能な飼育方法を模索しその効果を検証する必要がある。 そこで2023年度より試験的に開始した,児童の家庭で休日のモルモットの飼育を行うホームステイを2024年度も引き続き実施し,質的・量的データの採集を行う。飼育を行うことによる児童の心理への影響について,飼育を行わなかった群,ホスティング飼育,ホームステイ飼育の3群における比較を行い,効果を検証する。予算的問題,小学校を取り巻く状況に鑑みて,新たにホームステイを行う小学校の参加呼びかけは現実的でない。動物愛護法を遵守しつつ,現在ホームステイを行っている小学校と,動物にも児童にも教員にも負担のかからない飼育方法の模索を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響を受け,当初予定していたホスティング飼育を希望する小学校の募集がちょうどコロナ禍が始まった年に重なった。このため,当初よりホスティング飼育を希望する小学校数の数が想定を大幅に下回った。さらに,新型コロナ感染予防等を行いながら新たなホスティング飼育を行っていく負担・既に飼育していた動物の病気等が重なり,1地域1小学校が2年度目を終えた時点でホスティング飼育を中止することとなった。小学校長の退職等により3年目以降は1校のみにてホスティング飼育がおこなわれることとなった。また学校での動物飼育がコロナ禍以降はさらに下火となったことを受け,新たな研究提携先としての小学校を見つけ得ることがこの4年間,できなかった。申請時に想定していたよりもはるかに少ない頭数でのホスティング飼育を余儀なくされ,次年度使用が生じた。今年度においては,飼育に必要となるエサや器具の購入,獣医師によるホスティング飼育・検診・講話等に加え,データ入力のための人件費等の支出を計画している。
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