2023 Fiscal Year Research-status Report
学習指導要領とユネスコエコパークの具現のための探究ベースESDプログラムの開発
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20K02898
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Research Institution | Minami Kyusyu University |
Principal Investigator |
遠藤 晃 南九州大学, 人間発達学部, 教授 (40586525)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ESD / 総合的な学習の時間 / 探究的学び / ユネスコエコパーク / ニホンカモシカ / 幼児教育 / 学習指導要領 / SDGs |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度も綾町と連携して綾BRにおけるESDの普及と人材育成のための実践研究に取り組み、その一部は卒業研究として学生がカモシカESD絵本およびカモシカボードゲームを開発し、その絵本やゲームを用いたESDプログラムを保育・学校教育で実践することができた。いずれの開発においても綾町のカモシカに関わる多様なステークホルダーへのインタビューや現地調査を行いながら完成させ、各ステークホルダーのESDへの関与を図ることができた。 カモシカESD絵本については、絵本を用いた幼児向けESDプログラム「絵本 de 対話」を綾町立保育所で実践して教育効果を測り、その結果を踏まえて絵本に大幅な修正を加え最終バージョンを完成させた。完成したカモシカESD絵本は、綾小学校3年生の総合的学習でカモシカの出前授業を実施した際に導入として試験的に用い、児童の興味関心を高める効果が認められた。学生主体のこれらの取り組みはテレビと新聞の取材を受け、SDGsの取り組みとして県内に発信されるとともに、卒業研究は高等教育コンソーシアム宮崎の報告会で最優秀賞を受賞した。 「かもしかすごろく(カモシカボードゲーム)」は、綾BR発の小学生向けカモシカESDプログラムとして、祖母・傾・大崩BRの大分県佐伯市宇目と竹田市の小学校の総合的学習で活用され、探究的学びの導入として児童の興味関心を高めることに効果をあげた。この実践をもとに修正を加え、かもしかすごろくの最終バージョンを完成させた。この取り組みは新聞およびケーブルテレビを通して大分県内に発信されるとともに卒業研究としてまとめられた。 これまでの成果は、日本哺乳類学会、日本環境教育学会、日本理科教育学会など関連学会で綾BRにおけるESDプログラムの実践研究として発表することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍でフィールドワーク等が制限されたため当初の計画より時間がかかったものの本研究課題は想定通り進捗している。とくに綾BRのなかだけの成果ではなく、このESDモデルを他のBR(祖母・傾・大崩BR)へ展開することができたことは研究を大きく進捗させた。 さらに、綾BRにおいて、保育士・教員を目指す学生が幼児・児童向けのESDプログラムを開発・実践することでESDの指導者を育成する試みがテレビ・新聞で複数回取り上げられたことと、高等教育コンソーシアム宮崎の卒業研究報告会で最優秀賞を受賞したことは、カモシカESDプログラムが県内で認知されることになっただけでなく、このプログラムが高等教育機関における教育プログラムとして高く評価されたものと考えられ、想定以上の成果となった。 これまでの成果を論文としてまとめ、3つの学会(哺乳類、環境教育、理科教育)での公表ができたことも順調に進捗していることを示す材料となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
綾BRにおいて総合的な学習の時間やカモシカ絵本を用いたESD実践を続けることで、新学習指導要領及び綾BRの理念の具現化を目指すとともに、ESD推進モデルとして他のBRへの展開を広く・深く進展させる。 幼児教育・学校教育については「探究」という視点でESDの実践研究を進めていくとともにESDに関わる多様なづテークホルダーの関係性や協働することの効果について可能な限り検証していく。 最終年度として、これまでの成果のひとつひとつを研究論文としてまとめ、関連学会から発表する。
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Causes of Carryover |
コロナの影響でフィールドワークに遅れが生じていたが昨年度延長により成果がまとまってきた。これらの成果を実践研究で展開するとともに、学会等で成果報告をするために次年度使用額が生じることとなった。 使用額の多くは学会報告とフィールドワークのための旅費として使用する計画である。
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