2020 Fiscal Year Research-status Report
A comparative study between Janpan and Korea on Science Education
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20K02905
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
三石 初雄 東京学芸大学, 次世代教育研究センター, 名誉教授 (10157547)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 子どもと自然 / 環境教育 / 原体験教育 / 価値選択的課題 / 授業比較研究 / 学校論 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は次の4小課題を掲げた。 1つは、今日のコンピテンシー/コンピテンス概念を初発の提起から原理的検討を進めるために、基本文献を収集(1970年前後のブルーナーやホワイトらの一連の研究と著作の再評価が不可欠で、とりわけ『コンピテンスの発達』(ブルーナー)、『自我のエネルギー』(ホワイト)の検討)し、考察を行った。 2つには、価値選択的課題に取り組んでいる先駆的実践研究の到達点と課題の整理について、戦後の学校教育並びに教師の役割、位置に焦点をあてて考察を進めた。 3つには、本研究で中心的に取り組むイリオモテヤマネコ保全教育を対象とした価値選択的課題に焦点を当てた義務教育段階における実践的研究の可能性と課題を明らかにすることである。具体的には、子どもが「自然に関わることの教育的価値・意味探究の経緯」について、主に学校教育実践を事例に取り上げ、極めて大ざっぱな時期区分をもとに選択的課題を探究する今日の教育実践の意味とあり方を研究ノート的にまとめた。時期区分とは、①近代化の進展に伴い、局部的に自然やこと物・実在が子ども・大人の生活や意識から希薄になりはじめた時期(大正期・1910年前後以降)、②「自然離れ」が全国的に社会問題化しはじた時期(1960年代以降)、③自然との共生を自覚的持続的に課題として設定しはじめた時期(2000年代以降)というものである。また、この小課題では、沖縄・西表島の現地訪問と授業参観・研究協議を予定していたが、西表島には訪問できる状況ではなかったので、比較研究として福島県内での取り組みを訪問調査した。 4つには、韓国ヤマネコの生態と保全教育活動の調査並びに研究協力者との意見交換と研究狭義に関することである。具体的には、韓国の小学校教師と連絡を取り合い、韓国の教育課程の内容分析と道徳に関する「自然と人間」に焦点をあてた意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究での4小課題に即して次のように研究作業を進めてきた。 ①今日のコンピテンシー/コンピテンス概念を初発の提起から原理的検討を進めるという点に関しては、海外での研究成果に関する基本的文献収集が終了し、ブルーナーやホワイトらの海外でのコンピテンシー概念の生成/展開過程を整理/考察できてきている。 ②価値選択的課題に取り組んでいる先駆的実践研究の到達点と課題の整理という点では、日本における近代学校教育の展開を、教育目標、教育課程、教育内容の特徴に即して、整理と考察を行い、論考としてまとめることができた。また、沖縄/西表島には行くことができなかったが、教育実践の比較研究として、実際に学校での授業を参観、実地研究することもしてきている。 ④韓国ヤマネコの生態と保全教育活動の調査並びに研究協力者との意見交換のためにの韓国との研究交流では、訪問調査研究は実現できていないが、メール等での研究基盤づくりは行うことができている。中国への可能な限り訪問調査の実現を追究したが、実現できていはない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究での4小課題に即して次のように研究作業を進める。 ①今日のコンピテンシー/コンピテンス概念を初発の提起から原理的検討を進め、今年度は、波多野誼余夫、稲垣加世子、三宅なほみ、白水始らの認知心理学・学習科学的研究の諸成果の検討から、今日の能力/資質論に関わらせて価値選択的授業実践の課題を抽出する。 ②価値選択的課題に取り組んでいる先駆的実践研究の到達点と課題の整理を、学校教育ならでは学びの特質に焦点をあてる形で論点を整理する。具体的には、子安潤(中部大学)らの授業づくり、教材選定と教材研究の視点と具体的授業書づくりの成果を整理する、b) 北海道標茶町虹別中学校のシマフクロウ保全教育活動、東北地域に広がる白神山地の自然保全活動を取り上げている授業実践や東京都区内での「トンボ救出大作戦」(大森享実践)の考察を、学会参加や研究協議会を通して進める。 ③本研究で中心的に取り組むイリオモテヤマネコ保全教育を対象とした価値選択的課題に焦点を当てた義務教育段階における実践的研究の可能性と課題を明らかにし、教育課程編成の原理的考察を行う。具体的には、認定NPO法人トラ・ゾウ保護基金が取り組んできた、西表島の全小・中学校への出前授業と先駆的学校での取り組みを整理しながら、「西表島の自然とイリオモテヤマネコ」に関する教材資料集の骨格と典型的教材の一次資料を作成する。この小課題では、「コロナ」下ではあるが、沖縄・西表島への訪問調査並びに授業参観と研究協議の実施を可能な限り追究する。 ④韓国ヤマネコの生態と保全教育活動の調査並びに研究協力者との意見交換のために韓国と中国に、可能な限り訪問調査の実現を追究するが、不可能な場合も考え、メールとテレビ会議を通して、研究交流を図る。
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Causes of Carryover |
昨年度の直接経費総額は130万円であったが、主に韓国と中国への訪問調査と、招聘旅費の未執行により、残額35万余円が生じてしまった。 今年度は、80万円を執行予定としていたが、前年度の経費と合わせると約115万円となる。この予算執行に当たっては、前年度未実施の韓国と中国、沖縄・西表島への調査/研究交流の旅費を予定すると執行可能となる。 具体的には、物品費30万円、旅費40万円、人件費/謝金15万円、その他30万円を予定している。
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Research Products
(4 results)