2021 Fiscal Year Research-status Report
Research on teaching material development strategies to practice the activities of mathematical sophistication
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20K02915
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
中野 俊幸 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (20284424)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 数学的活動 / 深い学び / 統合化 / 教材開発のストラテジー / 数学を洗練する活動 / 授業デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,数学教育で深い学びを実現するために,数学授業における数学的活動をデザインすることが目的である。数学的活動とは「数学化」「数学をつくること」であり,深い学びとは,一般化・抽象化・統合化・記号化・形式化などの「数学を洗練する活動」を生徒の主体的学習に実現することであると捉えている。そして,数学を洗練する活動を実現するための学習場を,一般的な指導法の開発ではなく,数学に固有な教材開発によって形成することを狙いとし,そのための教材開発のストラテジ-を同定し,その有用性を実践を通して検証することも研究の主要なねらいである。 2020年度は教材開発のストラテジ-として,①ある変数を連続的に変化させ並べる ②ある条件・性質を否定して変更する ③問いと答えを逆転させる(逆・裏の命題を考える) ④セッティングを変える ⑤図を動かす ⑥範囲の制限をはずす ⑦次元を変える の7つを有効なストラテジーとして同定し実践的に検証したが、2021年度は、特に「統合化」を視点として「数学を洗練する活動」をするための授業デザインを考察した。数学学習における「統合化」を「一般化による統合」「拡張化による統合」「補完化による統合」「組織化による統合」の4つに分類し,教材開発のストラテジ-①,②,③,④,⑤,⑥を適用して,この4つの統合化が段階的に進んでいく過程を設定した授業をデザインし,授業実践を行ってその教育的効果を検証し課題を探った。 教材開発のストラテジ-を活用して統合化の視点から授業デザインをしたことで,数学を洗練する一般化,拡張化,補完化,組織化の4つの活動を効果的に組み合わせた授業を展開することができ,深い学びをめざした授業展開と学習指導の指針を得ることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は,学校教育の数学授業での学習指導に直接役に立つ理論を構成しようとするものなので,教育現場における具体的授業実践が不可欠であるが,新型コロナ感染症の影響で,教育現場への接近が厳しく制限されたため,研究協力者である現場教員との研究協議やその研究的・実験的授業も十分に行えなかった。このような理由により,研究の進捗は計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は,研究協力者である現場教員との研究協議をオンラインによって行うことにより進めてきたが,今後はさらに,研究的・実験的授業の観察や事後検討などもオンラインを活用することで進めたいと考えている。また,新型コロナ感染症が落ち着いてくることを期待して,研究の実践への理論的応用や検証,および実践からの理論の批判的再考を進めたいと考えている。
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Causes of Carryover |
学会がオンライン開催となり,出張旅費が不要となったこと,また教育現場への接近が制限されたこのとにより,ICTを活用するための機器等を使用する機会ができず,その購入を計画どおり行えなかったことにより,次年度使用額が生じた。オンラインを活用した授業研究のための必要機器の購入と,学会が現地開催になることで,これを使用する計画である。
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