2020 Fiscal Year Research-status Report
子どもの市民的資質を育てる修復的な学校をつくるための指導方法論の研究
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20K02929
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Research Institution | Kwassui Women's College |
Principal Investigator |
田渕 久美子 活水女子大学, 健康生活学部, 教授 (70259703)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 生徒指導 / 修復的実践 / 学級活動 / サークル / 修復的正義 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、学校における子ども間の葛藤・対立や人権侵害といった問題を解決する力量を子ども自身が身に付け、市民性を高めることができるように導くための、指導原理および指導方法の開発を目指している。 今年度は、小学校において学級活動の時間に修復的サークル対話(Circle Conversation)を試みてもらい、サークルが実践上どのような可能性を持つと考えられるか、教師自身の語りと子どもたちの作文から考察を行った。 その結果、教師からは、下記のような気付きが得られた。①サークルは、子どもの友達づくりのために、また学級を育てるために、有効な方法であると考えられる。何でも自由に語れる雰囲気を保障することによって、「聴く」「話す」活動が行われ、子どもたちが相互に尊重することにつながる雰囲気が醸成される。②学級の課題について、真剣に考えあう場をつくることができる。③落ち着いた状態をつくることができ、たとえば雨の日の休み時間の活動などとしても有意義に過ごすことができる。子どもたちの感想からは、「みんなが静かに聴いてくれたのでうれしかった」、サークルでは「良い気持ち」という思いが多く見られた。教師からは子どもたちについて「子ども同士で共感し合う学びの姿を見ることができた」とされた。すべての子どもたちが対等に語り、聴くという経験は子どもたちは経験したことがないようであった。サークルの意義は、全員が語る場を持つことでもあるが、それ以上に、他者の語りを傾聴する場であり、語った側は、自分の思いを傾聴してもらえたことへのうれしさという肯定的感情体験をすることができる。また、同じ話題で語っても、一人ひとりの思いが異なることに気づき、多様性への理解が深まること、また逆に、学級や学校の行事などについて語ると、みんなが楽しいと感じていたことは同じだったという時間を持ち、連帯感を得ることにもつながった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は、新型コロナウイルス感染症予防のための学校一斉休校のため、研究参加をお願いしていた小学校においても、授業時数が圧迫され、学校の多忙化が加速した。そのため、学級活動における研究参加のための活動(修復的サークル対話)を十分に実施してもらうことができなかった。また、同様の理由から、学校への訪問も限定され、思うように実践研究が進められなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度についても、小学校での実践研究を予定しているが、新型コロナウイルス感染症予防のため、どの程度進めることができるか見通しが持てないため、小学校の先生方と検討し、研究参加の対象の学級を増やすことができないかを模索したい。小学校を訪問しにくい状況は変わらないと思われるが、今年度の実施によって、先生方に手応えを感じていただくことはできたため、できるだけ計画的なサークルの実施をお願いしてみる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大のため、参加を予定していた学会が中止およびオンライン開催に代わり、予定した学会への出張等をしなかった。また、研究に協力してくれる学校への訪問の交通費、謝礼についても必要が生じなかった。
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