2023 Fiscal Year Research-status Report
多面的な入学者選抜における公平性の検証:地方や障害のある受験生への影響を中心に
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20K02942
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
立脇 洋介 九州大学, アドミッションセンター, 准教授 (50511648)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 入学者選抜 / 多面的評価 / 公平性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、多面的な入学者選抜が、一部の受験生にとって著しく不利にならず、公平に行われ、多様な人材の獲得につながるかを検討する。本年度は、①学習指導要領の改訂と入学者選抜との関連の検討、②障害受験生への受験上の配慮について検討を行った。 ①学習指導要領の改訂と入学者選抜との関連:前年から継続し、全国の高校2年生を対象に、2025年度入学者選抜について調査した。1年生時と比較すると、入学者選抜の変更についての理解度が進み(53%→69%)、ふだんの学習時間もテスト期間の学習時間も増加しており、入学者選抜への準備が進んでいた。また、入学者選抜における評価として「教科試験」「面接」「調査書」「志望理由書」を重視する点は、1年生時と同様で、ほとんど変化していないことが明らかになった。 ②障害受験生への受験上の配慮:障害受験生への受験上の配慮の現状と課題について整理した。障害者差別解消法を契機として、障害学生に対する合理的配慮は、利用者数も、支援内容の種類も大きく増加していた。その一方で、パソコンやタブレット等を利用した配慮が不十分であり、さらに共通テスト全体の時間や、試験問題の単語数が増加するなど、障害受験生への負担が以前よりも大きくなっていた。このように、入学者選抜における障害学生支援は、きめ細やかな合理的配慮を提供しているものの、年々障害学生の負担が増加しており、ユニバーサルデザインの視点が必要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①学習指導要領の改訂と入学者選抜に関しては、前年から調査を継続して実施したことに加えて、成果を大学入試研究ジャーナルにて発表した。②障害受験生への受験上の配慮に関しては、文献研究を実施し、成果を書籍にて発表した。以上のことから,「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
元々は本年度で終了の予定であったが、学習指導要領の改訂に関する調査をさらに1年調査を継続し、高校3年間の変化を検証することにした。調査項目自体は既に完成しており、データ収集後、分析を実施する予定である。これらを計画通り進めることで、問題なく研究が進捗するものと考えている。
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Causes of Carryover |
研究計画を一部変更し、追加の調査を実施することにした。調査費用及び研究成果発表のための旅費等で使用する予定である。
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