2020 Fiscal Year Research-status Report
国際比較の視点に基づく大学ガバナンスに関する理論的・実証的基盤研究
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20K02953
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
劉 慶紅 立命館大学, 経営学部, 教授 (20632673)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 大学ガバナンス / 国際比較 / コーポレートガバナンス / 大学の情報公開 / 大学の社会的責任 / 企業の社会的責任 / 学際研究 / 経営倫理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の全体構想としては、企業にはコーポレートガバナンス(Corporate Governance)の推進が強く求められる一方、より公的な存在である大学において大学ガバナンス(University Governance)が重要視されるのは当然であるというものである。本研究では、今後大学経営を存続させるべく有効的な大学ガバナンス戦略のあり方として、国際社会に通用する大学ガバナンスの適切なあり方を模索すべく日米中を比較分析し、大学ガバナンスを中心に独創的かつ革新的に基盤研究を行う。研究期間内には、以下のことを明らかにする。 1.「日米中間における大学ガバナンスに対する政府の姿勢及び学界における議論の相違」についての理論研究; 2.「各々の大学及びそのステークホルダーにおける大学ガバナンスに対する認識」及び「ステークホルダーに求められる大学ガバナンスの対象及び範囲」についての実証研究: 3.「今後大学経営を存続させるべく有効的な大学ガバナンス戦略のあり方及び国際比較を通したガバナンスに関する大学の社会責任」についての考察。 しかし新型コロナウイルス感染症の影響で、海外出張はできない為、現地でのヒアリング調査が実施できず、「ステークホルダーおよび国ごとの議論の相違およびに認知の差」を確認することができなかった。その為、本研究課題の進捗状況については、当初の計画よりやや遅れている。 このことから、今年度(2020年4月1日~2021年3月31日)では,東京大学東洋文化研究所での在外研究に集中し、「経営倫理」及び「企業ガバナンス」などの最新研究動向を中心に理論研究をしながら、査読論文1つ及び学術書籍2冊出版等を通じて研究実績の発表をもって社会に還元することを行い、当初の計画に基づき研究を進めている。これらの研究成果は、今後の「大学ガバナンス」の理論構築に活用しようとしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度(2020年4月1日~2021年3月31日)は、東京大学東洋文化研究所にて「日米中間における大学ガバナンスに対する政府の姿勢及び学界における議論の相違」についての理論研究を行った。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、当初計画からやや遅れている。 具体的には、「高等教育及び大学経営、さらには大学の社会的責任に関する基本的な考え方は国によって異なる為、大学のガバナンスに関する法政策の姿勢や、ガバナンス体制に対する学界において十分な議論がなされていない」という点について、2020年度に分析していく予定である。しかし新型コロナウイルス感染症の影響で、海外出張はできない為、現地でのヒアリング調査が実施できず「ステークホルダーおよび国ごとの議論の相違およびに認知の差」を確認することができなかった。その際、オンライン会議ツールを活用した海外ヒアリングも試みたが、対面での聴取に比べ機微に欠けるため十分な効果が期待できないと判断した。このことから今年度は「経営倫理」及び「企業ガバナンス」研究の最新動向などの理論研究をし、研究成果は英語執筆の学術著書および査読論文として社会に広く還元すると共に、それらの研究成果をこれからの「大学ガバナンス」の理論構築に活用しようとしている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の研究課題は、「各々の大学及びそのステークホルダーにおける大学ガバナンスに対する認識」及び「ステークホルダーに求められる大学ガバナンスの対象及び範囲」の実証研究である。 2020年度には新型コロナウイルス感染症の影響で現地ヒアリングが実施できなかった部分のキャッチアップを優先的に予定する。しかし2021年度も新型コロナウイルス感染症の影響で、研究が当初計画通りに進まない場合、研究調査対象地の限定もしくは変更を行う。例えば、調査対象の大学や企業の協力が予定通り得られない場合に備えて、地域や大学の特性等を踏まえ、複数の選択肢を想定し、万一協力が得られなかった際の代替案を講じられるよう調整を行う。またアンケート調査が困難な状況には、現地の調査会社もしくは大学等の研究機関と連携し、データ収集を行い、分析する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度半年間(2020年9月26日~2021年3月31日)東京大学において在外研究を行ったため、購入後関西への持ち帰りが困難であると判断し、計画していた設備備品費(関係図書等)は使うことが出来なかった。 今年度(2021年4月1日~2022年3月31日)は計画していた設備備品費(関係図書等)を購入することが出来なかったため、次年度への経費に充てたい。
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