2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K02971
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Research Institution | Chikushi Jogakuen University |
Principal Investigator |
山田 直子 筑紫女学園大学, 文学部, 准教授 (50421219)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高等教育 / 国際化 / カリキュラム / タンデム学習 / 異文化間能力 / エンゲージメント |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度はまず5月にフィンランドの2つの高等教育機関を訪問し、調査を実施した。目的の一つは、これらの大学におけるInternationalization at Home(IaH)の取り組みの実態把握である。IaHの理念がどのような形で教育活動に反映されているのか、具体的にどのような取り組みが展開されているのか、その成果と課題は何であるかを考察するため、担当者(教員・国際化推進職員・学生)へのアンケートの実施、参与観察、半構造化インタビューを行ない、質的データを収集した。二つ目は、大学生の異文化感受性や文化の異なる他者との協働に必要な知識・態度・スキルをどのように養成しているのかを明らかにすることである。IaHの取り組みの一つとして行われている、タンデム学習の実践に関する情報を収集した。
これらの調査で得たデータの一部を使用し、2023年9月札幌学院大学、2024年2月カンボジア・プノンペンにて発表を行なった。フィンランドの大学で行われている対面のタンデム学習の事例と、筆者が実践しているオンラインでのタンデム学習の事例をもとにモデル化を試みた。多様な専門分野の研究者から多くの質問や意見をいただいたた。それらを消化しながら論文を執筆している。
国際的な学びの機会が「全ての学生に提供されるべき」というIaHの理念を満たすためには、大学のあらゆる活動を見直し、学生のエンゲージメントを促すことが必須である。フィンランドの大学では、国際関係の部署の取り組みに依存するのではなく、個々の学部・大学院組織において国際や多様性の観点からカリキュラムの点検を行い、具体的な活動に落とし込んでいた。調査大学が採用するアプローチや方法論は、フィンランドを代表するものであると必ずしも言えないが、日本の高等教育機関、とりわけ様々な制限に直面している地方の中規模大学とって参照可能な有益なものである。
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