2022 Fiscal Year Annual Research Report
文章の執筆過程の分析に基づく大学初年次生の文章産出能力の実証的研究
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20K02974
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Research Institution | Chuogakuin University |
Principal Investigator |
田中 啓行 中央学院大学, 法学部, 准教授 (40779774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石黒 圭 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 日本語教育研究領域, 教授 (40313449)
大島 弥生 立命館大学, 経営学部, 教授 (90293092)
田島 ますみ 中央学院大学, 法学部, 教授 (90534488)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 初年次教育 / アカデミック・ライティング / 執筆過程 / 文章表現 / 作文教育 / 学術的文章 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、作文の執筆過程および執筆後のインタビューの分析を行い、大学1年生の作文執筆過程から得られる文章表現指導への示唆と文章課題の設定に関する成果を発表した。前者については、意見文の執筆過程の分析から、①自分の意見を書いた文を控えめな表現にしたり、個人的な意見であることを明示したりする、②情報を加えて内容をより具体的にする、③文の長さを意識して文を分ける、④すでに書いた箇所に戻って修正するなどの修正を行っていることを示した。意見を客観的に書くことを指導する際、①のような学生の心理に留意すること、情報を加えたり、文を分けたりする際に文のねじれなどが生じないように学生に意識させることの重要性を指摘した。 後者については、授業で課す文章課題の設定について考察するため、4種の作文それぞれの執筆後に行ったインタビューから、学生が作文の文字数、テーマに関して述べた内容を抽出し、分析を行った。その結果、自分の体験に関わるテーマについて、内容の思いつきやすさから書きやすいと感じる学生がいる一方、自分の心理描写などに書きづらさを感じ、根拠に基づいて自分の意見を示す文章のほうが書きやすいと述べる学生がいることを示した。基礎的な文章表現を身につける目的で課す文章課題であっても、単に身近なテーマにすればよいわけではないことが示唆された。また、意見文については、意見の自由度、範囲によって、学生にとっての難易度が変わることを指摘した。 また、国語教諭の経験者、大学の初年次の日本語科目担当者などによる作文の評価を行った。 研究期間全体を通じて、執筆過程における修正の実態から、学生によって、文章執筆中に意識している範囲が異なり、そこに基礎的な文章力の違いがある可能性があることを指摘した。また、インタビューの内容から、課題文章の設定は、個々の学生の違いをふまえて行う必要があることを指摘した。
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Research Products
(3 results)