2021 Fiscal Year Research-status Report
冒険教育を活用したカリキュラム埋め込み型の大学適応教育プログラムとアセスメント
Project/Area Number |
20K02984
|
Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
松下 尚史 岡山理科大学, 工学部, 准教授 (20229470)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 美香 岡山理科大学, 基盤教育センター, 准教授 (30521067)
望月 雅光 創価大学, 経営学部, 教授 (70284601)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 冒険教育 / 教育効果 / 身体性 / 仲間作り |
Outline of Annual Research Achievements |
冒険教育の海外での実践を中心に文献調査を行った。併せて、冒険教育の教育効果を説明する理論やモデルについても文献調査を行った。その大要は次の通りである。まず、冒険教育が野外教育に包含されることを確認し、いくつかの文献で示されている野外教育一般と冒険教育を区別する指標を5つに整理した。次に、野外教育と冒険教育の歴史を概観し、淵源をたどり、根底にある教育理念を探った。そして、高等教育での冒険教育の実践状況を調べ、その教育効果として、帰属意識、自己効力感、リーダーシップ、グループワークスキルなどの向上を挙げていた。しかしながら、日本の研究では、事前・事後の測定にとどまることが多く、継続的な効果を測定できていないなどの課題があった。さらに、冒険教育の活動の質を高め、学習者の学びを促進させるための冒険教育のモデルや理論を整理し、活動後の教育効果の持続性に関する理論を整理した。どのモデルや理論にもそれぞれ良さがあり限界があるため、それらを組み合わせて利用する必要性を確認した。 冒険教育を授業に組み込むための教育プログラムを開発するために、特別な施設を利用せずに実施できる冒険教育の活動を選定した。それを大学のキャンパス内において試行し、その教育効果を確認した。しかしながら、コロナ禍のために教室で試行するのは困難であったため、感染対策を徹底して屋外で行った。その教育効果を担当教員へのインタビュー調査とその分析により明らかにした。具体的には、過去に冒険教育を体験していない学生と比較して、本試行に参加した学生の授業の出席率が比較的高いこと、退学率が減少していることがわかった。本取組により、困難な課題を参加した学生全員で協力することで、学科での一体感ができ、仲間作りが促進できた。この関係性が、授業等でのグループワークにおいても、維持されていることがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により、感染防止のために接触回避やソーシャルディスタンスの維持が求められ、冒険教育に関わる活動に限界があり、その都度、研究計画を見直す必要があった。同時に、各種の調査についても、コロナ禍の影響を考慮しての実施となり、当初の計画通りには実施できなかった。さらに、社会的な要請から出張等の移動にも制限が加わったままであり、施設を使った実験的な取り組みの実施や先進事例の実地調査もできなくなった。 そこで、研究計画を見直し、海外の文献調査に実施や感染対策を踏まえた試行を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度の研究により、冒険教育を活用した入学時の取り組みが退学予防につながる可能性がわかった。このことを踏まえて大学適応感尺度を開発する。コロナ禍による影響を考慮してWeb調査の実施も見送っているが、状況を見て判断したい。引き続き、コロナ禍における身体性についても検討したい。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍の影響を受け、予定していた調査ができなかったため、それに関わる費用を発生しなかった。また、学会発表等の中止やオンライン開催への変更により、予定していた出張がなくなった。このような理由により、次年度使用額が生じた。
|
Research Products
(4 results)