2023 Fiscal Year Research-status Report
大学生の進路選択・決定過程でのメタ認知活用に関する実践的研究
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20K02985
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Research Institution | Yasuda Women's University |
Principal Investigator |
池田 智子 安田女子大学, 心理学部, 教授 (90284140)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 大学生 / 進路選択 / 就職活動方略 / 職業選択課題認知 / キャリア意識 / 就労動機 / 職業観 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度には、就職活動を行ったあるいは継続中の大学3,4年生を対象に、これまでの進路選択・決定過程に関わる先行研究を基に「就職活動方略尺度」(37項目)(「進路の軸確立」因子、「情報収集志向」因子、「サポート志向」因子、「粘り強さ志向」因子、「モニタリング方略 」因子、「プランニング方略」因子、「活動量志向」因子)を作成し、大学生が就職活動で採用する方略と、就職活動という課題をどう認識しているかという職業選択課題認知(下村・堀 1994)との関係について検討した(研究Ⅰ)。その結果、就職活動方略と課題認知の各因子の相関をみると、職業・就職活動を時間的・金銭的に制約 の多い課題だと見なしたり、方法や結果が曖昧な課題だと見なしている場合には、何らかの方略をもって臨みにくいことがわかった。一方、職業・就職活動を重要な課題、また、親近性の高い課題であると見なしている場合には、さまざまな方略を用いることが示された。特に 親近性の高い課題であると見なしている場合、「モニタリング方略」を用いやすいことが示された。 さらに、大学3,4年生の持つ、職業観、キャリア意識、就労動機が、就職活動方略にどのような影響を及ぼしているのかを明らかにすることを目的に、質問紙調査によりデータを収集した(研究Ⅱ)。このデータについては、今後分析する予定である。 これまでの研究結果から、学生の就職支援において、職業選択・就職活動という課題に対する学生の認知を考慮する必要性が示唆され、今後の就職支援のあり方について検討する際の参考になる結果であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、研究Ⅰ~研究Ⅲで構成される予定である。これまで、研究Ⅰ・Ⅱのデータ収集が完了しており、現時点で、今後研究Ⅲのデータ収集と、研究Ⅰ~研究Ⅲの分析、結果のまとめをするのに、十分な時間が残されていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2024年度には以下の計画で研究を進める予定である。①研究Ⅰでは、各就職活動方略について、どれくらい実際に使用したか、どれくらい効果があると思うか、これくらい負担感があるかを尋ねている。各就職活動方略の使用、効果、負担感と、職業選択課題認知との関係について分析して明らかにする予定である。②各就職活動方略に、その学生の職業観、キャリア意識、就労動機がどのような影響を及ぼしているかについて明らかにするために、研究Ⅱのデータを分析する予定である。また、研究Ⅱでは、就職活動、就職内定先の満足度も尋ねているため、そういった満足度と各就職活動方略との関係についても分析し、明らかにする予定である。③研究Ⅲでは、就職活動方略の重要性と、その学生の大学での学修に対する学習観を調査し、学生の日頃の学修に対する態度と、その学生が就職活動で重要とした、あるいは重要とする方略との関係について調査、分析する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で研究実施が計画より遅れたために次年度使用額が生じたが、次年度に研究Ⅲを実施、研究全体のまとめをする予定であり、当初の計画通りの研究が完了する予定である。
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