2021 Fiscal Year Research-status Report
Cognitive characteristics and preference in people with autism spectrum disorder
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20K02994
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
藤野 博 東京学芸大学, 教育学研究科, 教授 (00248270)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 英嗣 青山学院大学, 教育人間科学部, 准教授 (50711595)
日戸 由刈 相模女子大学, 人間社会学部, 教授 (40827797)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 認知特性 / 言語コミュニケーション / 選好性 |
Outline of Annual Research Achievements |
小学1年生から6年生のまでの言語発達に遅れのない自閉スペクトラム症(ASD)と定型発達(TD)の児童を対象として以下の2つの研究を行った。 (1)心的状態の言語表現における自由回答形式と選択回答形式の差について図形アニメーション表現課題を用いて検証した。アニメーションを提示した後にどのような話であったかを語るよう求めた。次いで、同じアニメーションを場面ごとに分割して提示し、予め設定された選択肢から語句を選んで文を作成することを求めた。また、アニメーション版心の理論課題(藤野,2005)に含まれる3種類の誤信念課題を実施し通過数を得点化した。その結果、課題形式の主効果がみられ、選択回答のほうが自由回答よりも有意に得点が高かったが、交互作用と群の主効果はみられなかった。また、TD群では心的表現と心の理論課題の得点に有意な相関はみられなかったが、ASD群では両者に有意な相関がみられ、選択回答では自由回答より相関が強かった。心的表現は選択回答の方が生起しやすいことが示唆された。 (2)自然会話場面における情報伝達様式について、詳細さ、明確性、的確性の観点から検討した。「学校の場所や建物について教えてください」と質問し回答を記録した。そして実験内容を知らない学生14名にトランスクリプトを提示し、情報の細かさ(詳細さ)、説明のわかりやすさ(明確性)、質問に対する応答の的確さ(的確性)について評価するよう依頼した。その結果、詳細さと明確性は両群間に有意差はなかったが、的確性はASD群に比べてTD群の方が有意に評価点は高かった。ASD群に実験者の質問への応答がかみ合わず会話が成立しなかった児童がおり的確性の得点に影響したと考えられた。また、個別にみると、ASD児は本題に関する情報よりも付加的な情報を詳細に述べる傾向がみられ、両群間の量的な差はなかったものの質的な差異があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度と同様にオンラインで実験を行った。昨年度の成果に基づき研究のために開発・作成したオンラインでも実施できる研究用ソフトウェアを用いて実験を行う計画を立て、計画通りに研究の遂行ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の状況にもよるが、本年度は感染症対策を十分に行ったうえで、対面で実験を行うことを計画している。これまでオンラインのため実施できなかった視線の測定による実験も行う予定である。また、3年間のデータを総合し研究のまとめを行い、学会発表と論文化を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症のため、対面による学会が開催されなかったため、旅費にあてていた額の執行ができなかったために残額が生じた。また、オンラインによるデータ収集を行ったため謝金の支払額も申請時の想定に比べ低くなったことも残額が生じた理由である。研究分担者に配分した分についても、コロナ禍により研究計画に変更が生じたためと考えられる。本年度は対面による実験を計画しており、また学会も対面で開催される見込みであるため、対面実験の実施と学会への参加・発表のために使用する予定である。
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Research Products
(5 results)