2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K02997
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
井坂 行男 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (40314439)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 聴覚障害児教育 / 言語学習支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主な目的は聴覚障害児教育における最重要教育課題である「9歳レベルの壁」を解決するための包括的言語学習支援方法を開発することである。包括的言語学習支援に関する基本的な考え方はこれまでも取り上げられてきた聴覚障害児の語彙事項と文法事項の習得に焦点をあてて分析的に検討すると共に、具体的な生活経験に基づき、意味そのものを伝達する非言語メディアから意味を伝えるための形態を用いる言語メディアへの移行、聴覚情報による消失型の音声言語や視覚情報による消失型の手話言語から視覚情報による痕跡型の書記言語への移行等における言語形態付加及び形態追加、言語事項の高次化及び高度化、さらには社会化に関する各項目間の関係性をも踏まえたものであるとして、各項目間の関係性に関する分析検討を実施した。また、聴覚障害児においては習得が遅滞する抽象的な語彙についての習得を促進するための具体的な支援方法の検討と、習得が遅滞すると共にその活用上の課題も併せ有する文法事項の習得支援方法を引き続き、検討した。抽象的な語彙の習得支援においては語彙そのものの抽象性、多義性、具体的語彙との概念関係理解、音声言語及び手話言語から書記言語への言語形態移行に関する言語形態追加に関わるそれぞれの言語知識の理解,語彙学習や文法学習の理解を促進するための支援方法の検討を実施した。これらのことを踏まえて、今後は聴覚障害児の語彙力や文法力の実態を考慮した聴覚障害児に対する包括的言語学習支援方法を構築していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度においても新型コロナウイルス感染症の拡大によるコロナ禍の中で感染症拡大防止の関連から、学校休校やオンデマンド授業が実施されている学校教育現場における聴覚障害児の学習時間や学習機会の確保等の観点から、聴覚障害児の語彙力及び文法力の実態把握等が非常に厳しい状況であった。そのために、聴覚障害児の語彙習得や文法習得のための基礎資料の収集や言語事項及び文法事項の分析検討を優先的に実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度もコロナ禍にあり、現在も新型コロナウイルス感染防止対策が重要であることから、聴覚障害児の語彙力や文法力等の実態把握及びその分析についてはコロナ禍が収束後に実施する予定である。その間は、聴覚障害児の語彙力や文法力等に関する研究成果を分析検討すると共に非言語メディア、言語メディアとしての音声言語・手話言語・書記言語の言語形態付加等に関する分析検討を実施する。
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Causes of Carryover |
研究実施初年度及び2年度において、新型コロナウイルス感染症拡大によるコロナ禍が生じていたために、調査及び出張等は感染防止の観点から、控えたことから、旅費や調査結果分析のための人件費等の支出が生じなかった。
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