2023 Fiscal Year Annual Research Report
肢体不自由教育における自立活動指導者の専門性に関する研究
Project/Area Number |
20K03003
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Research Institution | Fuji Women's University |
Principal Investigator |
今野 邦彦 藤女子大学, 人間生活学部, 准教授 (80710516)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肢体不自由教育 / 自立活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、わが国の肢体不自由教育における自立活動指導者の専門性の現状と今後の方向性について、多角的・広域的に調査し考察を深めることにより、肢体不自由教育に資することを目的とした。その際、これまでには見られなかった「自治体―学校―指導者個人」というレベルを統合した形で自立活動指導者の専門性に迫ることを目指した。そのため、量的調査のみならず、教育実践現場に赴いて観察・面接を実施し、質的研究アプローチの方法をも採用した。 研究Ⅰでは、全国の教育委員会を対象として質問紙調査を実施した。その結果、42.4%の委員会が、一般の教員とは別に専門的な教職員すなわち内部専門家を採用していることが明らかになった。また、内部専門家の活用のためには、その職種や雇用形態が重要な課題であることが指摘された。 研究Ⅱでは、2自治体を対象として、学校訪問による内部専門家の実践の観察、内部専門家・管理職・教育委員会担当者への面接・質問紙調査、元管理職へのオンラインインタビュー、文献・資料による調査を実施した。その結果、内部専門家による自立活動指導の成果として、児童生徒の日常生活に即した指導ができること、担任の力量・専門性の向上に寄与できることなどが挙げられた。 研究Ⅲでは、研究Ⅱの手法を援用し、5自治体への調査を実施した。その結果、同じ内部専門家であってもそのアイデンティティは様々であり、それによって児童生徒、保護者、教職員との 関わり方が異なることが示唆された。 本研究の成果として、内部専門家活用の方法には、自治体ごと、学校ごとに独自性があることが明らかになった。また、今後も地域によって特色ある取組がなされると考えられるが、各自治体は、内部専門家を積極的に導入かつ効果的に活用する体制を整えることが期待された。
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Remarks |
自主シンポジウム開催「自立活動教諭の専門性(5)―自立活動教諭の専門性を培う土台とは―」日本特殊教育学会第61回大会(2023年8月26日)
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