2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of autistic individual's self-understanding using conventional EEG measurement tool.
Project/Area Number |
20K03007
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Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
成田 奈緒子 文教大学, 教育学部, 教授 (40306189)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自閉症スペクトラム / レジリエンス / 半球優位性 / 教育的介入支援 / 脳機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症スペクトラム( ASD) 児者においてよくみられる対人関係や社会活動の苦手さの原因は、脳の働き方の違い、特に脳の興奮が特に左の前頭葉で収まりにくくなることにあるという仮説を立て、研究を続けている。本研究課題ではその仮説をもとに、脳波を測定しながら前頭葉のトレーニングを行うことで、自分の脳機能を自分でコントロールできるようになり、対人関係の苦手さやストレス耐性が改善されることを証明したいと考える。 現在までに11名のASD者と11名の定型発達者での比較検討を行った結果、S-H式レジリエンス検査質問紙で測定したレジリエンス合計点について、初回測定時に定型発達者平均が105.8点、ASD者平均が93. 6点であり、T検定でp<0.05の有意差を認めた。しかしながら、最終回測定時は定型発達者107.9点、ASD者104.0点とASD者でp<0.05の有意な点数増加が認められ、結果として、TD-ASD間に統計学的有意差は認められなくなった。レジリエンスのカテゴリ中ソーシャルサポートの点数も初回は定型発達者平均が53.6点、ASD者平均が46.5点であり、T検定でp<0.05の有意差を認めた。しかしながら、最終回測定時は定型発達者52.7点、ASD者50.9点となりTD-ASD間に統計学的有意差は認められなくなった。正答率・処理速度もASD者のみ平均パーセンテージが有意に上昇し後でTDとの差がなくなった。このことより今回の教育的介入支援を伴う脳機能トレーニングは、ASD者のレジリエンス、特にソーシャルサポートを上げ不安ストレス脳波を減弱させることで効率的な脳機能発揮に効果を示したと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度はコロナ禍により対面での実験が不可能となったが、2021年度になり、感染症対策を講じた上で徐々にデータ採取を再開している。しかし、全体の研究進捗は当初予定よりは遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで蓄積した研究データの解析からは、継続的な脳機能トレーニングを、教育的介入を行いながら継続することは、脳機能改善のみならず、ASD者のレジリエンス向上に効果的であることが示唆される。今年度も引き続きコロナ禍の感染拡大に対する十分な対策を講じながら、少しずつ被験者を増やしてデータ採取を行っていく予定である。 可能であれば、すでにデータ採取したASD被験者に対し、再度脳機能およびレジリエンス質問紙による測定を行い、教育的介入支援による効果の長期持続についても検討していきたい。さらに、二次障害の有無や危険性についても他の質問紙を追加することで検討してきたいと考える。一方で、データを集約しまとめていき、学会発表を含め、社会に広く結果を周知していきたいと考える。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、当初計画していた臨床実践研究が縮小されたため、被験者に支払われる予定であった旅費・謝金の使用がなくなった。さらに、学会のオンライン化に伴い、出張経費が消失した。2022年度は被験者の参加を促し再度実践研究を開始する予定である。また、順次対面開催再開が予想される学会参加も予定している。
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Research Products
(5 results)