2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of a play space for parents and children using light, sound and smell environment for children in need and their parents
Project/Area Number |
20K03011
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Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
井上 和久 大谷大学, 文学部, 准教授 (70738583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 浩之 常葉大学, 保健医療学部, 准教授 (20635031)
姉崎 弘 常葉大学, 教育学部, 教授 (30314107)
高橋 眞琴 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (30706966)
嶺 也守寛 東洋大学, ライフデザイン学部, 准教授 (40708567)
橋本 翠 吉備国際大学, 心理学部, 准教授 (60735257)
大久保 圭子 平安女学院大学, 子ども教育学部, 准教授 (20880355)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 親子支援 / 発達障害 / 遊び / 家庭 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、障害のある子どもの発達支援と保護者の心理的支援の両方を家庭の場で可能にするため、光や音を発する器材、心地よい触感覚のおもちゃなどにより、光、音、香り、触感覚などを取り入れた「親子の遊び空間」について、家庭に導入しやすいモデルを開発し提案することを目的に次の4点を柱に研究を進めている。 ①発達障害等配慮・支援が必要な幼児を育てる保護者の状況や困難さを明らかにする。今年度については、「発達障害の幼児の障害特性」「発達障害児の子育ての実態」「養育者の子育ての喜びと困難さ」について先行研究のレビューを行い、発達障害の子どもを育てる保護者の発達の遅れ等に気付いてから就学までの子育ての状況と親の心理について整理を行った。 ②親子の家庭等での遊びの実態を明らかにする。今年度については「親子の遊び」について文献レビューを行うとともに、発達支援事業に通園している幼児の母親5人に家庭での遊びに関してインタビュー調査を実施し、保護者への質問紙調査の作成を行った。 ③遊び空間の開発のための器材の開発と選定を行う。今年度については、発光器材の開発と可搬式バブルチューブの家庭での使用について提案を行った。また、児童福祉通園施設に「ひかる紙芝居」の提供を行い、通常の紙芝居との反応の違いを保育者による評価を行った。 ④「親子の遊び空間」の理論構築を行う。今年度について、「親子の遊び空間」をスヌーズレンの理論を取り入れたものとするため、スヌーズレンについての文献レビューを行った。 以上の研究について、2020年10月に日本LD学会シンポジウムで研究分担者がそれぞれの研究について活動報告を行った。また、科研に関する研究協議会を同年11月に開催し、研究分担者間で研究の進捗状況の共有を図った。一方、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、保護者への面接調査を当初の計画より縮小し、施設の視察を次年度に見送った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
①インタビュー調査:発達支援事業所に通園する5人の幼児の母親に対して、子どもの屋内での遊び、外遊び、「遊び」での子どもへの関わりについてインタビュー調査を実施した。インタビュー調査の結果から、発達障害等により療育等の支援を受けている幼児の母親は、遊びの中でも子どもの発達を促すための何らかの工夫を意識的に行っており、子どもと一緒に遊ぶ中で、子どもの笑顔や予測できない行動などから、母親自身が喜びや楽しさを感じていた。その一方で発達障害等の特性からくる子どものこだわりや衝動性等への対応に苦慮している状況が窺えた。インタビュー調査については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により今年度に予定をしていた対象人数を縮小して実施し分析を行った。次年度も継続して調査を実施する予定である。 ②先進的な取り組みに関する情報収集:国内外の発達障害等支援が必要な子どもと親への支援を行っている施設の視察を計画していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により実施できなかった。国内の施設等の視察については次年度に実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
前述について引き続き実施していくとともに、次年度については「親子の遊び空間(試案)」の開発を行う。 ①文献レビュー:これまで実施してきたレビュー研究をもとに、次年度は「親子の遊び空間」の理論構成を試みる。 ②インタビュー調査:発達障害等支援が必要な幼児の保護者へのインタビュー調査を次年度も継続して行う。また、保健センターの親子教室や発達支援センター等で発達支援や親子支援を実施している保健師、保育士等支援者へのインタビュー調査を実施する。加えて必要に応じて保護者、支援者への質問紙調査を実施する。そして個人情報に配慮した上で、調査結果をまとめ分析し、支援が必要な幼児の親子の遊びの実態と支援のあり方を明らかにすることを試みる。 ③遊び空間に使用する器材の開発:家庭での親子の遊びに必要な発光器材として今年度に開発を行った天蓋(キャノピー)を用いて子どもと親への効果検証を実施する。天蓋(キャノピー)は他人との接触をすることもなく親子だけの空間を作り出すため、新型コロナウイルス感染拡大の状況における家庭での「親子の遊び空間」の有用な器材の一つとして活用できるものと考えている。 ④遊び空間の構成:家庭の屋内で使用できる発光器材、音を奏でる機器やおもちゃ、香りを発するもの、心地よい触感覚のおもちゃ等の選定を行い、「親子の遊び空間」の構成を行う。また、従来の可搬式バブルチューブを家庭用のホームスヌーズレンに適用することを提案していく。 ⑤先進的な取り組みに関する情報収集:国内の支援が必要な幼児の親子支援を先進的に行っている施設等への視察を行う。上記の内容は、発達障害等の幼児を育てる保護者の子育て支援と幼児の発達支援、親子の愛着形成へ支援のための材料とする。次年度は2年目であり、「親子の遊び空間(試案)」を構成し提案することとし、3年目については「親子の遊び空間(試案)」の効果検証を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、次のような事態が生じた。①保護者へのインタビュー調査では、感染防止のため対象者の人数を当初の計画より縮小して行った。②海外の施設等での取り組みの視察ができなくなった。③国内で先進的な実践を行っている施設等への視察について調整がつかず次年度に見送った。④特別支援学校や施設において発光器材等を子どもへ使用することを予定したが実施できなかった。これらのことにより、人件費・謝金、旅費の使用が一部できなかった。 そのため今年度について、コロナウイルスの国内感染状況を見ながら次のように計画する。①インタビュー調査:発達障害等支援が必要な幼児の保護者へのインタビュー調査の継続を行う。また、保健センターの親子教室や発達支援センター等で発達支援や親子支援を実施している支援者へのインタビュー調査を実施する。②施設等への視察:世界での感染の広がりの状況を鑑み、今年度についても海外の施設への視察は困難であると推測されることから、国内の施設等を中心に対象施設との調整を行い、視察を実施することとする。④発光器材の効果検証:発光器材等の子どもへの効果の検証を行う。対象となる特別支援学校や施設と交渉を行い、可能なかぎり学校・施設を訪問し研究を進めていく。上記の通り、これらの活動における謝金や旅費として使用する。
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Research Products
(6 results)