2022 Fiscal Year Research-status Report
読字困難児の読解力の改善を目的とした語彙習得プログラムの開発
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20K03012
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
赤尾 依子 関西学院大学, 文学部, 助手 (70756098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 あゆみ 北海道大学, 教育学研究院, 教授 (10304221)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 読字困難 / 語彙指導 / 語彙 / 認知特性 / 視覚情報処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
幼児期に獲得される語彙は話し言葉が中心であるため、日常会話を行う際には子ども達の語彙力の差がほとんど気にならない。しかし、小学校に入学し書き言葉の学習が始まると、読字困難を示す子ども達の語彙力の乏しさが徐々に目立つようになる。読字が困難であるため、書き言葉の学習に遅れが生じ、結果として語彙力が低下する。語彙力の低下が読解力の向上を妨げ、結果として学習への不適応感が高まる。また、学校が嫌いになるといった二次的不適応も生じる。語彙力をつけるためには読書が有効である。しかし、読字困難児は読字が困難なため、読書をする機会が乏しくなる。一般的には読書によって語彙力が高まり、語彙力の高まりを土台として読解力が高まる。読書によって語彙力をつけ読解力を高められない場合、逆の発想に立って、読解力を高めるために語彙力をつけることを提案する。そして本研究では、読字困難児の語彙力を高める「語彙習得プログラム」を提案することを目的とした。 「語彙習得プログラム」用に「ことばのべんきょう」を学年ごとに作成する。①各学年で学習する学習語彙をこくごの教科書より抽出する。②抽出した語彙を学ぶための教材である「ことばのべんきょう」を作成する。③「ことばのべんきょう」で学習した語彙の定着率を検討する。 令和4年度は、小学3年生を対象とした、「ことばのべんきょう光村図書版3ねん」を作成した。語彙の抽出は、研究代表者と研究協力者である小学校教員とで行った。語彙を抽出した後、語彙の意味を小学生用の国語辞典で調べ、「語彙、意味、例文、例文に合う画像」の4点を1セットとしてICT教材を作成した。語彙、意味、例文については、繰り返し音声を聞くことが出来るよう音声再生ボタンも付けた。以上のような視覚・聴覚の両方から学べる教材を作成した。学習効果を検討するために、「よみ」と「意味」の2側面から検討する語彙検査を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和4年度はCOVID-19の感染拡大が続いていたため小学校現場に余裕がなく、「語彙検査」を使用した語彙力定着の確認ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
・令和5年度は、読字困難を単音連続読み検査と単文音読検査で確認する。そして、語彙力定着については語彙検査を使用して確認する。 ・4年生ICT教材である「ことばのべんきょう光村図書版4ねん」を作成し、アプリとして公開する。 ・研究成果を語彙指導プログラムにまとめる。
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Causes of Carryover |
多くの小学校でCOVID-19変異ウイルスの感染拡大が見られたため、予定していた指導が十分に出来なかった。そのため、未使用額が発生した。未使用額については、次年度経費とあわせて物品購入に充てる。
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