2020 Fiscal Year Research-status Report
「敏感過ぎる」個性により学校不適応を生じるこども達のためのスクリーニング法の開発
Project/Area Number |
20K03014
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
小倉 加恵子 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, こころの診療部, 部長 (60332780)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 感覚過敏 / 慢性疲労 / 学校不適応 / 不登校 / Highly Sensitive Person |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、感覚処理感受性が高く不適応を生じやすいこども達(Highly Sensitive Person: HSP)を的確に評価し、その生きにくさを予防するためのスクリーニング法を開発することである。 当該年度は、文献調査およびカルテ調査によるHSPの特徴の明確化を目標とした。文献調査については、 PubMed、医学中央雑誌などの医学文献のデータベースを用いて国内外の文献を対象とした調査をおこなった。文献をもとに、HSPの臨床的な特徴や環境要因として適合/不適合等について抽出した。カルテ調査については、診療機関で実施する予定であったため、新型コロナウイルス感染症による影響を受けた。予定していたモデル病院の担当者と代替方法について協議を重ねて、最終的に当初の予定を大きく変更することになった(詳細は以下に記載)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度の目標であった文献調査については、概ね予定通り実施することができた。 一方で、モデル病院におけるカルテ調査を予定していたが、新型コロナウイルス感染症が令和2年度に入り全国的に拡大した影響により、協力依頼をしていたモデル病院に協力を得ることが困難な状況が続いたことや、県をまたいだ往来や研究目的での病院訪問の制限などにより研究者自身がカルテ調査に赴くことが困難となった。さらに、研究代表者が所属機関等において新たに新型コロナウイルス感染症の対策のための役割を担ったため、研究開始当初予定したエフォートを本研究にかけることができなかった。 以上の理由により、当初の研究計画よりも進捗が遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の広がりは収束しておらず、次年度も今年度と同様の社会情勢であることが想定される。予定していたモデル病院以外にも、不登校の児童を診療している医療機関に対してHSPの診療状況について調査し、協力を得る。協力が可能な医療機関に対して、HSPの性格特徴や学校不適応に至った心理社会的要因を抽出する。調査に際しては、当該医療機関の新型コロナウイルス感染症対策を踏まえ、オンライン会議を活用するなど診療に影響がないように十分な配慮を行う。 上記の結果を踏まえて、HSPスクリーニング項目を検討し、スクリーニングシートを構築する。さらに、感覚過敏について類似症候を示す自閉スペクトラム症等の文献調査を実施し、標準化された感覚感受性に関するアセスメントを検討し、スクリーニング項目の妥当性を検討する上で 必要な評価尺度を選定する。 なお、研究代表者のエフォートが研究に十分かけられるかどうかは、新型コロナウイルス感染症の蔓延状況に関連するため、状況により次年度に繰り越すことも考慮する。次年度以降に予定している「日本におけるHSPスクリーニング法の実践的検証」については、新型コロナウイルス感染症による影響が長引くことも考慮して、教育機関等でアンケート調査するなど代替手段について、研究協力者と検討を行う。検討に際してはオンライン会議を活用するなどして感染症対策を十分に講じる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症が令和2年度に入り全国的に拡大した影響により、協力依頼をしていたモデル病院の研究協力を得ることが困難な状況が続きカルテ調査を中止した。また、県をまたいだ往来や研究目的での病院訪問の制限などで研究者自身が調査に赴くことが困難となった。さらに学術集会の開催中止や参加自粛の要請等により、予定をしていた学術集会の参加について中止した。なお、一部の学術集会ではオンライン会議への振り替えがあったが、機器の購入準備ができていなかったことや品薄などの理由によりオンライン会議を活用する環境整備が年度内には困難であった。以上のことから、当該年度の予算執行を予定通りに行うことができなかった。 次年度は、学術集会や会議をオンラインに切り替えることで参加を可能とするために、物品費等によりオンライン環境整備を行う。また、当該年度に実施できなかった研究について、次年度以降の研究計画変更を行って、コロナ禍でも実現可能な方法で実施していく予定であり、現地調査は研究者自身による訪問は最小限として、現地人員を雇用するなどで代替していくことから旅費を減少し、人件費を増加する。
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Research Products
(1 results)