2023 Fiscal Year Research-status Report
「敏感過ぎる」個性により学校不適応を生じるこども達のためのスクリーニング法の開発
Project/Area Number |
20K03014
|
Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
小倉 加恵子 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 小児内科系専門診療部こころの診療科, リサーチアソシエイト (60332780)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 感覚過敏 / 学校不適応 / 不登校 / Highly Sensitive Person / Highly Sensitive Child |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的は、感覚処理感受性が高く不適応を生じやすいこども達(Highly Sensitive Person: HSP)を的確に評価し、その生きにくさを予防するためのスクリーニング法を開発することである。 当該年度は、不登校の児童を診療している医療機関に対してHSPの診療状況について調査を行い、HSPの性格特徴や学校不適応に至った心理社会的要因を聞き取り調査するとともに、実施された診察及び検査結果から、スクリーニングに有用な評価尺度を選定することを目標とした。 研究協力者とともに不登校を主に診療する小児科医療機関での聞き取り調査を行った。最近10年の診療状況及びHSPが疑われる児童の性格および診療経過の特徴、不登校に関連すると思われる心理社会的要因などに関する診療経験に基づいた概要に関して聞き取った。また、診療状況や経過などの情報について確認をおこない、HSPのある児童の診断および鑑別診断、実施された検査のリスト作成を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度までの3年間は新型コロナウイルス感染症の影響のため、感染症対策業務優先及び医療機関等の協力が得られない状況により、当初計画に比べて研究の遂行が遅れた。 2023年5月8日以降新型コロナウイルス感染症5類感染症移行したが、移行後の体制整備などの新たな業務が発生したことから、年度上期は研究業務に十分なエフォートを避けなかった。研究遂行に関しては、医療機関において引き続き感染対策が求められる状況から、昨年度予定した研究計画を修正して調査対象を絞り、対象となる医療機関の感染症対策を踏まえてオンライン会議を活用するなど診療に影響がないように十分な配慮を行うなどにより研究推進に努めた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度実施した予備的調査をもとに新たに研究計画の修正を行ったうえで、倫理委員会の審査を受けて本調査を実施する。本調査では患者データを収集して、統計学的な解析が可能なデータセットを作成する。また、感覚過敏について類似症候を示す自閉スペクトラム症の検査・尺度や標準化された感覚感受性に関するアセスメントなど、調査対象となった医療機関では実施されていなかった心理検査について文献調査を実施する。これらの結果を踏まえて、HSPスクリーニング項目の整理を行い、スクリーニングシートを構築する。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大のため、研究代表者は研究開始年度から昨年度に至るまで感染症対策業務を担うことになったことから、十分なエフォートを研究に充てることができなくなった。また、調査対象となる医療機関において感染症対策の観点から調査協力が得られず、計画を修正せざるを得なくなった。さらに、国の感染症対応の方針が3年間定まらなかったことから全研究期間に渡る計画の修正案を立てることができず、研究開始年度から研究費を毎年繰り越すことになった。昨年度下期から、研究計画を修正して推進を図っているところである。
|