2022 Fiscal Year Research-status Report
知的障害児における教科学習による交流及び共同学習の実践プログラム開発
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20K03019
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
霜田 浩信 群馬大学, 共同教育学部, 教授 (80364735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 素子 群馬大学, 教育学部, 准教授 (60452918)
坂西 秀昭 群馬大学, 大学院教育学研究科, 教授 (40883715)
内田 誠 群馬大学, 共同教育学部, 准教授 (70883619)
河内 昭浩 群馬大学, 共同教育学部, 准教授 (10625172)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 交流及び共同学習 / 知的障害 / 教科学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.国語科「ごんぎつね」を題材とした交流及び共同学習の実践 互いに学び合い、教科のねらいを達成させる共同学習の側面を促す授業づくりの視点として、①目標設定とその柔軟性、目標の共有化、②みんなが参加できる学習活動の設定、③個の実態に応じた選べる手だての設定、④個々の評価設定といった4点を見出した。この視点が、共同学習の側面を促す交流及び共同学習の授業づくりの視点となり得るかについて、小学校4年生国語科「ごんぎつね」の単元で授業を実践し検証した。特別支援学級児童と交流学級児童が、それぞれを特別視せず、一人の仲間として互いに教え合う、尊重し合う関係があるなかで、個の特性と、個に応じた学び方について、両担任同士で捉えたことを共有し、個に応じた目標や活動、手だてを設定したことが、「登場人物の人物像や気持ちの変化について叙述をもとに捉える」といった国語科の教科としてのねらいを達成することができた要因として考えられた。 2.交流及び共同学習における効果検証 小学校時代に交流及び共同学習の経験のある中学生徒にインタビュー調査を行い、交流の側面の学びが、当時の授業やその過程、さらに数年経過後における学校生活や地域生活のへの効果について検証した。調査の結果、ほとんどの生徒が授業における内容を覚えていないが、授業の前後に行われた知的障害児との遊びを明確に記憶しており、知的障害児と一緒に活動する過程で、"楽しい "という前向きな姿勢に変化していた。また、知的障害児との関わりのなかでは、知的障害児を理解し、豊かな交流の中で適切なコミュニケーションの方法を見出していた。しかしながら、この活動で学んだことを、現在、他の障害者や社会的マイノリティを理解するために再構築することは困難であった。今後、生徒の成長に合わせて学んだことを拡張するための包括的かつ継続的な教育プログラムの開発が必要であるが考察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて、実践研究を行うべき機会の確保が当初の計画に比べ限定的にはなったが、過去の実践に基づいた効果検証を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度実施した教科の学習による交流及び共同学習としての授業実践に基づいて、授業改善の視点を見いだす。具体的には①何を評価するか:教科等の学び 交流活動を通して学ぶもの、②何によって評価するか:教員側からの基準・規準 本人の思い、③誰が評価するのか:教員から、本人自身によって、児童生徒同士、④評価をどのように共有するのかを観点とする。特に、交流及び共同学習を実践した教員における学びとして、その経験がその後の実践等にどのように影響を受けたかを調査研究する。 さらに、これまでの研究を総括して、知的障害のある児童と障害のない児童において教科学習を通した交流及び共同学習を実践するプログラムを検討し、ガイドブックとしてまとめる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて、実践研究を行うべき学校現場において、交流及び共同学習の実践の機会が限定されたため。
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Research Products
(4 results)