2022 Fiscal Year Research-status Report
特別支援学校のティームティーチングにおける教師間インターラクション
Project/Area Number |
20K03036
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Research Institution | Fukuoka Jo Gakuin University |
Principal Investigator |
松崎 保弘 福岡女学院大学, 人間関係学部, 教授 (70551745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山之内 幹 福岡女学院大学, 人間関係学部, 講師 (00866494)
城間 園子 琉球大学, 教育学研究科, 准教授 (30782346)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ティームティーチング / 特別支援学校 / 教師間インターラクション |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度までに知的障害特別支援学校小学部の「朝の会」の授業を4Kカメラ5台(当初4台)を使い6回記録することができた。この授業の撮影記録をもとに、授業における教師と児童及び教師間のインターラクションについて分析を行った。最初に記録した知的障害特別支援学校の授業における教師行動は「確認・強調」「評価」「代行」「援助」「連携」「副担当独自の指導」の7カテゴリーに分類できた。 このカテゴリーにおける「強調」「評価」「代行」「援助」「連携」は主担当が進行する授業展開の流れにそって出現していた。さらに、授業における教師間インターラクションを明らかにするために2人の副担任の行動をカテゴライズしたところ、「連携」に該当する行動は主担当に出現したが、副担当には出現しなかった。「代行」は副担当Aが16回示したが、副担当Bには出現しなかった。いずれも主担当と副担当の共同的な行為を示すカテゴリーと予想していたが、再検討の必要性が明らかになった。 今回の授業において、主担当の授業展開に沿って副担当が個々の児童への指導を行っていることが観察された。また、主担当の視線や身振り等が副担当の授業行動や個別指導に繋がる場面が観察できた。一方、副担当は児童が授業の展開から逸脱した行動を示す場合に、主担当の授業展開に無関係に指導を行うことがあった。このような指導の出現回数は副担当Aが3回、副担当Bが2回であるが、5秒間毎の区切りにおける出現頻度では副担当Aが7回、副担当Bが7回であった。 さらに、約15分間の授業において教師間の非言語的インターラクションを経て、指導の実際が主指導者から副指導者に移行する場面が3カ所で確認できた。今後、特別支援学校におけるティームティーチングにおいて、指導の移行が出現する状況を明確にする必要があると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染症の影響で、令和2年度から令和3年中旬まで特別支援学校を訪問できない状況が続いたため、授業観察及び授業撮影の開始が大幅に遅れた。また、研究協力者の退職等により、当初、福岡市、鹿児島県、沖縄県で予定していた調査が鹿児島県と沖縄県に限られることになった。 令和3年下旬から令和4年にかけて、沖縄県内の特別支援学校の調査が可能になったが、鹿児島県の特別支援学校における調査は令和5年から可能になっっている。そのため、授業の記録の期間を令和5年度の7月まで延長することになった。 令和4年度までに調査した授業に関しては、授業中の教師と児童の会話のトランスクリプトが終了した状況である。教師と児童及び教師間のインターラクションの分析で用いる教師行動のカテゴリーの試案は既に作成できており、主担当と副担当が示す教師行動のカテゴライズを進めている。さらに、今後はトランスクリプトの結果と授業の映像結果をあわせたて観察し、教師間のインターラクションの状況を明らかにする必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
鹿児島県における授業の記録と調査を令和5年7月までの期間に実施することにしている。令和4年度までの授業記録とあわせ、8回程度の授業に基づき授業分析を行うことになる見通しである。 令和4年度までに記録した授業におけるトランスクリプトの作成は終了しているので、新たに加えた授業記録とともに、9月までに授業の映像記録とあわせて教師行動のカテゴリーを用いて授業記録を完成させる予定である。そのうえで教師間インターラクションの状況を明確にしたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の影響で、令和2年度から令和3年度中旬まで特別支援学校を訪問できない状況が続いた。そのため、本格的に授業観察及び記録が可能になったのは平成4年からとなり、補助事業期間の延長を申請した。 令和4年度末までに特別支援学校4校延べ6授業の授業を記録し分析を進めているが、対象授業数の追加及び資料整理並びに成果発表のために令和5年度の補助金使用が必要となっている。使用を予定している補助金は、鹿児島県立特別支援学校1校の授業記録のための福岡-鹿児島間旅費、成果発表のための福岡-横浜間旅費、資料整理のための消耗品費である。
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Research Products
(1 results)