2021 Fiscal Year Research-status Report
インクルーシブ教育場面における知的障害児の学習効果と自己評価
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20K03039
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小島 道生 筑波大学, 人間系, 准教授 (50362827)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 交流および共同学習 / 知的障害 / 自己評価 / オンライン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、オンラインによる交流及び共同学習に関する生徒の自己評価について、研究成果をまとめた。コロナ禍ということもあり、当初計画していた対面での交流及び共同学習は実施できなかった。ただ、新たな試みとして、オンラインでの交流及び共同学習が展開され、生徒の自己評価に基づき、主に学習成果と限界について検討した。具体的には、特別支援学校のある中学生18名と高等学校の生徒14名を対象として実施したオンライン交流及び共同学習について、生徒を対象としたアンケート調査を実施した。その結果、知的障害のある生徒は、オンラインの交流に対して、困難さを感じる生徒と感じない生徒に分かれていたが、高校生はオンラインの交流に対する困難さを感じている生徒が多かったことなどが明らかになった。また、知的障害のある生徒と高校生に共通して、相手校の生徒についての理解の程度には、過去の対面での交流および共同学習の経験の有無が影響していることが示された。また、オンラインでの交流でも、知的障害のある生徒は学習できた(勉強になった)と捉えていることが明らかとなった。 次に、本年度は全国の知的障害特別支援学校を対象とした交流および共同学習に関するアンケート調査を実施した。その結果については、分析中であるが、コロナ禍におけるオンラインの交流及び共同学習の現状と課題、交流及び共同学習における生徒の自己評価の取り組み状況などについて明らかになりつつある。調査結果については、今後学会及び学術論文として研究成果を公表していく予定である。 さらに、知的障害のある児童生徒を対象とした交流及び共同学習に関する文献的な検討も進めている。知的障害のある児童生徒にとって学習効果が期待でき、肯定的な自己評価へとつなげる交流及び共同学習の在り方について先行研究を基に検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度も新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けた。研究を行っている地域において緊急事態宣言が発令されたこともあり、感染予防の観点から、対面が必要となる事例研究や面接研究などは、実施困難な状況であった。そのため、オンラインでの交流及び共同学習にかかわり研究成果をまとめるとともに、アンケート調査を中心として進めた。また、新たに文献的な検討も進めることとした。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍ではあるものの、緊急事態宣言が解除された期間において、感染対策を徹底しながら、事例的検討や調査研究を行っていく予定である。具体的には、インクルーシブ場面における学習効果と自己評価について、事例的な検討を進める。そして、文献的な検討と併せて、知的障害児がインクルーシブ教育場面での効果的な学習や肯定的な自己評価を抱けるようになるための具体的な支援の在り方について検討していきたい。また、アンケート調査を踏まえて、可能であれば知的障害特別支援学校に訪問し、教師への面接調査などを実施したい。また、特別支援学級を対象とした調査研究により、通常学級における知的障害児の共同学習に関するアンケート調査を実施し、学習効果と自己評価を高める実践の取り組みなど実態について明らかにする。そして可能であれば、特別支援学級を訪問(あるいはオンライン調査)し、教師を対象とした調査を行い、学習や肯定的な自己評価を抱けるような支援の在り方について明らかにしたい。 最後に、研究を総括し、交流及び共同学習において学習効果を上げ、肯定的な自己評価を高めるガイドラインの作成を試みる。
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Causes of Carryover |
コロナ禍であり、緊急事態宣言なども発令され、予定していた対面による実践や面接調査が実施できなかった。また、国際学会や国内学会もオンラインでの開催となり、旅費がかからなかった。また、人件費についても、対面による調査などが実施できなかったことにより、予定よりもかからなかった。そのため、予算については、次年度使用額が生じた。 次年度については、今年度よりも対面などによる研究ができる可能性は高いと予想されるため、当初予定していた事例的な検討、面接調査などを行い、研究費の使用を進めていく。また、特別支援学級の教師を対象とした調査研究、さらにはガイドラインの作成を行い、計画的に研究費を使用していく予定である。
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Research Products
(2 results)