2021 Fiscal Year Research-status Report
発達性ディスレクシア児の読み上げ効果を評価するタブレット用アプリの開発
Project/Area Number |
20K03042
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
村瀬 忍 (廣嶌忍) 岐阜大学, 教育学部, 教授 (40262745)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ディスレクシア / 読み上げ / 視覚提示 / 聴覚提示 / 情報活用 / アセスメント / アプリ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の目標はタブレット端末上で利用できるアプリを開発することであった。そのために、①試作アプリを成人のディスレクシアのある人とない人とに実施し、改善点を明らかにする②アプリを修正し、ディスレクシアのある人とない人に実施し、ディスレクシアのある人の特徴が把握できるかどうかを明らかにする③文字の読みに困難さのある児童の、文字の読みの困難さが明らかにできることを確認するの、3点を実施した。 ①について、DDのある成人1名と、DDのない成人1名とに試作アプリを実施したところ、DDの成人の文字の読みの困難さが把握できることが確認できた。さらに、(1)被検者が一人で自動的に検査を進めていけるように改善すること(2)結果の表示をすること(3)読み上げの音声をAIに変更することの、改善点が明らかになった。それらを踏まえて、iPad上で使用できる検査アプリ「みみより」を完成させた。 ②については「みみより」を障害のない大学生30名に実施した。検査により得られた正答数ついて、2要因(提示方法X命題数)の分散分析を実施したところ、視覚提示と聴覚提示とには正答率に有意差が認められなかった。これにより、「みみより」の課題は、視覚提示と聴覚提示について同等の難易度を備えており、提示方法の違いによることばの理解度の違いを評価できると考えられた。 ③について、27名の発達障害が疑われる小学生および中学生に「みみより」を実施し、文字の読みの困難さが「みみより」により定量的に評価できるかどうか検討した。大学生のデータと比較した結果、発達障害児群の正答率はどの提示方法でも有意に低く、反応時間も有意に長いことが明らかになったことから、発達障害児の文字の読みだけでなく、情報処理の困難さを把握できるツールであることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、タブレットで実施できるアセスメントアプリを開発することを目的とするものである。これまでの研究の結果、子どもの文字を読んで理解する力と、ことばを聞いて理解する力との比較ができるアプリは完成した。しかし、試験的に実施した結果、アセスメントの所要時間が長いために、低学年には実施が難しいこと、検査で使用する言語課題が小学校高学年以上でないと難しいことが明らかになった。低学年用の課題で実施できるアプリの作成は本研究の目的の一つであり、研究の必要性が確認できた。本年度は学年別検査を開発する予定であったが、4年生以上で使用できるアプリの作成にとどまったことが、研究の進捗状況がやや遅れていると評価した理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では以下のことを実施する。①検査課題を見直して、検査時間の短縮をおこなう②小学校低学年が利用できる課題を作成し、学年別課題が選択できるようにする③検査が完成したら、検査の標準化のためのデータ収集を開始する。今年度はスタンドアローンのアプリでデータを収集するが、データ収集が進まない場合は、オンラインで実施する方法への技術的変更も検討する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大のため、小中学校でのデータ収集が想定の通りに実施できなかった。そのため、低学年用アプリ開発およびデータ解析の予算が繰り越された。また、国内の学会のオンライン参加および国際学会での資料収集ができなかったことにより、資料収集および成果発表のための予算が繰り越されることになった。
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Research Products
(1 results)