2022 Fiscal Year Research-status Report
発達性ディスレクシア児の読み上げ効果を評価するタブレット用アプリの開発
Project/Area Number |
20K03042
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
村瀬 忍 (廣嶌忍) 岐阜大学, 教育学部, 教授 (40262745)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ディスレクシア / アセスメント / タブレット / 読み上げ / 音声 |
Outline of Annual Research Achievements |
みみよりに使用した課題は、「母のきらいな色は青色だ」のような20文字程度の日本語の短文であった。課題文を2文もしくは3文、タブレット上に提示し、その後、文の内容についてを問う問題を提示した。対象者は、問題文に対して○×をタップして解答した。1組の課題文に対して問題文は6問あり、文の提示方法は、文字(よむ課題)、音声(きく課題)、文字と音声との両方(よむきく)の3種類であった。文の提示方法は、課題文と問題文とで統一した。課題は、提示方法毎に16課題あり、従って質問は全部で96問であった。対象者は障害のない大学生30名および通級指導教室に通う発達障害のある小中学生23名であった。 大学生の正答率の結果から、「みみより」は読む課題と聞く課題とに難易度の差がないことがわかった。発達障害のある対象者の結果には個人差が観察できた。「きく」の正答率が「よむ」の正答率より顕著に低かった対象者、「よむ」の正答率が「きく」の正答率より低く、反応時間から「よむ」課題に時間がかかっていた対象者、「よむ」と「きく」の正答率には大きな差はないが「よむきく」で正答率が高くなっていた対象者などがいることがわかった。「きく」課題における正答率が「よむ」課題の正答率より高く、加えて「よむ」課題の解答に時間がかかっていた対象者は、ディスレクシアが疑われる児童で、聞く課題の結果から、こうした児童には読み上げが効果であると考えられた。 みみよりはタブレットを用いているため、対象者が自分で容易に実施でき、評価も簡単であることがわかった。また、対象者の文字の読みにかかる時間が測定できるため、ディスレクシアの児童生徒の非流暢な読みの特徴が評価できると考えられた。さらに、「みみより」は対象者の読む力と聞く力とを比較することができることから、音声による読み上げの有効性を評価できるツールであると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの感染拡大の影響を受けて、被験者の確保が困難であった。統制群として障害のない児童生徒の協力が必要であったが、大学生に実施できたのみであった。発達障害の対象者についても、通級指導教室の協力を得ることが困難で、データが不十分な結果となった。多くのデータを収集するためには、オンライン化が必須であることがわかったが、技術面での手配の問題から、終了までの期間内にオンライン化までアプリの仕様変更が間に合わなかった。 さらに、作成したアセスメントアプリについて、アセスメントの精度を優先したため課題数が多く、実施時間が長いものとなった。実施に負担があったことも、データ収集が困難な理由であった。期間内に課題数を変更するなどの、仕様の変更が間に合わなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、作成したアセスメント「みみより」の仕様に変更を加え、さらにデータを収集して、読み上げの有効なディスレクシア児を発見できるかどうか、検討する必要がある。データの収集を容易にするため、次の2点についてアプリの使用を変更する。第一に、アセスメント実施にかかる時間を短縮化する。現在、96問ある課題を半分にし、2文と3文とを別々に実施できるようにする。第二はアセスメントをオンラインで実施できるようにする。個別的に対面で実施するのではなく、児童生徒が自分の所有するタブレットで実施できるアプリとすることで、受験者数を増やす。これにより、さらに簡単に実施できるアセスメントとして完成させる。
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Causes of Carryover |
国際学会への参加が制限されたことにより、学会発表ができなかったが、本年度は10月に米国において学会発表を予定している。その旅費として、支出する予定である。 多くのデータ収集のためには、アセスメントのオンライン化が必須であることがわかった。アプリの仕様変更に支出を予定している。
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Research Products
(1 results)