2020 Fiscal Year Research-status Report
訪問教育における医療的ケア児の実態と教育支援の課題に関する研究
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20K03044
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
菊池 紀彦 三重大学, 教育学部, 教授 (20442676)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 医療的ケア児 / 訪問教育 / ICT / 通学生と訪問生のオンライン交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は以下の3点である。①a)訪問教育を受けている医療的ケア児を担当している教師に対し、医療的ケア児の感覚機能、認知機能の把握状況や教育支援の状況に関する調査、b)訪問教育を受けている児童生徒と本校に通学する児童生徒との遠隔教育に基づいた学び合いや育ち合いに関する調査を実施する。また、②訪問教育の医療的ケア児を対象に、c)対象児に対する教育実践中における脳血流動態と心拍数変動が対象の微細な行動表出とどのように関連しているかを明らかにするとともに、働きかけに対する応答が乏しい医療的ケア児に対する教育支援の方略を検討すること、d)訪問教育の担任教師と連携して、ICTなどの機器を用いた効果的な遠隔教育の在り方について明らかにする。③以上2点の取組を通して、訪問教育を受けている医療的ケア児に対する教育支援方略及び効果的な遠隔教育の在り方を明らかにする。 2020年度は、①の調査を実施するため、医療的ケア児の教育を担当している特別支援学校教員に聞き取り調査を行った。現在、調査項目の精査を行っているところである。②については、コロナウイルス感染症の影響により、2020年4月から2021年1月までは、対象児の自宅を訪問して活動を展開することができなかった。2020年2月と3月に、対象児が在籍している特別支援学校を訪問し、訪問教育担当の教師と活動のあり方について協議を行った。その結果、コロナウイルス感染症の動向を見極めながら、ICT機器を活用した本校と対象児宅を繋いだオンライン授業を実施すること、その際、対象児のバイタルサインを測定することを確認した。その後、実際に2名の対象児宅を訪問し、訪問教育担当教師とともに授業実践を行った。現在、オンライ授業を実施するための授業について、担当教師と詰めの調整を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウイルス感染症により、定期的に対象児童の自宅を訪問することが困難であった。そのため、事例的な取組についてはやや遅れている状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
全国調査を実施すべく、2020年度は特別支援学校の教員に聞き取り調査を実施した。現在、聞き取り調査の内容を精査しており、2021年の秋までには調査項目を作成する予定である。全国調査については、2021年度内に実施する。 事例的な取組については、コロナウイルス感染症の拡大に細心の注意を払いながら、対象児童の自宅を訪問する。訪問教育担当教師とともに、2021年1学期中に本校と対象児童の自宅をオンラインでつないだ授業を複数回実施する予定である(早ければ2021年5月中旬から下旬に実施予定)。得られたデータをもとに、対象児童の行動表出について分析・整理する。また、本校に通学する児童の様子についても教師から聞き取りを行う。これらのデータを整理しつつ、オンライン授業を展開し、子どもたち同士の学び合い、育ち合いについて検討を行いたい。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症拡大により、当初計画していた本校と訪問教育対象児童の自宅をオンラインで繋いだ授業を実施することができなかった。そのため、2020年度は物品を購入することを見送った。2021年度は5月中旬から下旬にかけて、オンライン授業を実施する予定であり、2020年度に執行を見送った金額を用いて必要物品等を請求する予定である。
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