2020 Fiscal Year Research-status Report
UDLガイドラインによる授業改善をめざす小学校・中学校教員への実践的研修の実装
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20K03049
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
納富 恵子 福岡教育大学, 大学院教育学研究科, 教授 (60228301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 久子 福岡教育大学, 大学院教育学研究科, 教授 (80461250)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | UDLガイドライン / 教員研修 / 人材育成 / 授業モデル / 実装 |
Outline of Annual Research Achievements |
学びのユニバーサルデザイン(Universal Design for Learning:UDL)とは、米国の非営利団体CAST(https://www.cast.org/)が提案し推進している学びの障壁をなくしすべての学びのエキスパートとして育成する考え方である。学習科学や神経科学をもとにエビデンスにもとづき教育のデザインを改善しするため、UDLガイドラインを提案している。初期には、障害のある人にテクノロジーを活用することで学びを支援してきたCASTは、1990年代に学校という学びの場でのユニバーサルデザインを実現する方向に舵を切り、現在までに学齢期から高等教育までその活用を広げている。 本研究の目的は、これまでの科学研究費補助金で取り組んできた小学校と中学校でのUDLガイドラインを活用した授業改善の研究の成果を活用しながら、小学校・中学校の教員向けのUDLガイドラインを用いた実践的研修を実装することである。 一年目にあたる令和2年度は、新型コロナ感染症流行拡大のために、研究計画を大きく変更することとした。当初の計画では、米国のボストン郊外のUDLに基づく授業を組織的に推進している学校区を訪問し、組織的な推進や人材育成手法を調査した上で、教員向け研修のデザインを行う予定であった。しかし渡航が難しくなったため、本年度は、国内で行える教員研修のデザイン立案のために、大きく4点に取り組んだ。1)エビデンスに基づいた校内研修や校内研究の整理を行い図書を出版した。2)過去の調査で得られたUDLを推進しているボストン近郊の学校の学校環境や教室環境等の紹介と日本の小学校・中学校での実践を論文として発表した。3)UDLの手法を用いた、校内研究の指導助言やコンサルテーションを行った。4)UDLガイドラインの一つの枠組みである実行機能を伸ばす授業改善手法の試行と効果検証である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画段階で予定していた、米国での調査研究は実現できなかったが、1)これまでの研究成果の整理や論文化、2)エビデンスに基づいた校内研究や研修に関する著書出版、3)小学校や、大学と連携しての校内研究や研修への支援ができたこと、4)実行機能に関する授業づくりの実証ができたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果をもとに、以下の4点に取り組む。1)UDLガイドラインを活用した教員研修のデザインを行い試行研修を行う。2)新型コロナ感染症の流行が終息すれば米国へ訪問調査を行い組織的推進に関する情報収集を行う。しかし、不確実性があるために、CASTが主催するWEBセミナーに参加し情報収集に努める。3)一年間にわたり指導助言を行った福岡県内小学校でUDLにもとづく校内研究を行っている小学校に対して継続的に支援を行い成果と課題を確認し、組織的なUDL推進手法について情報を収集する。4)UDLガイドラインを行った授業改善についての啓発を行うために、2つの大学のプロジェクトに関して研修や研究推進を支援し高校教育や高等教育への啓発を行う。 京都大学 https://coc.educ.kyoto-u.ac.jp/shigaku-keiei/lecturer「特別支援教育とユニバーサルデザイン」講師として高等学校の運営候補者へ啓発を行う。 立命館アジア太平洋大学(APU) 文部科学省「平成30年度私立大学研究ブランディング事業(タイプB)」の1プロジェクト 「UDL理論に基づくインクルーシブ授業の開発に関する事例研究: 立命館アジア太平洋大学の1回生演習科目と必修言語科目を対象に」の研究メンバーとして参加し、小学校・中学校で蓄積してきたUDLの導入手法を大学教育に応用するための組織的手法に関して情報を得る。https://www.apu.ac.jp/cil/research/
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Causes of Carryover |
予定していた米国訪問調査が、新型コロナ感染症流行のために実施できなかったため。
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Research Products
(6 results)