2023 Fiscal Year Research-status Report
思春期後期~青年期前期のきょうだいとその家族のためのQOL支援プログラムの開発
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20K03050
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Research Institution | Yamanashi Prefectural University |
Principal Investigator |
阿部 美穂子 山梨県立大学, 看護学部, 教授 (70515907)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 障害児者のきょうだい / きょうだい支援 / 障害児家族QOL / 障害児家族支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、昨年度までに実施した思春期後期~青年期前期にあるきょうだい(以下、きょうだい)への質問紙調査結果と先行研究(阿部,2021)での親への調査結果と比較検討により、きょうだい、親が共通してFQOL低下につながる悩みを抱えていること、7割近くが、悩み解決に向けて学び合う機会を希望していることを踏まえ、きょうだいとその親がともに参加し、相互理解を促進し、家族問題に向き合う場として、全2回からなる「きょうだい座談会」を実施し、その効果を検証した。 座談会は、第1回テーマ「恋愛と結婚、進路」、2か月後に第2回テーマ「親なき後」を設定し、各回2時間で、チェックイン後、趣旨説明と参加者全員の自己紹介、引き続き1時間程度のきょうだいグループ、親グループ別での協議、その後、茶菓を供しての全体での共有報告会と質疑応答で構成した。研究協力機関から配布されたチラシにより参加を希望した、きょうだい9名(15~26歳)と親6名(41~55歳)が参加した。また、30~50代の先輩きょうだい当事者(各回3~4名)がアドバイザー役を担った。 終了後アンケートでは、協議内容に関しては、「参加前に比べて気持ちがすっきりしたか」「悩み解決に役立ちそうか」「自分と自分の家族の生活をより充実させるためのヒントが得られたか」について75~100%が、活動構成に関しては、「グループ別協議」「全体での情報共有」「先輩きょうだいとの話」の満足度と役立ち度について100%が、「そう思う」「どちらかというとそう思う」の肯定的評価を示した。第2回終了約1か月後をめどに、きょうだいと親、家族で、関連した話題を話し合った機会の有無と内容を尋ねたところ、回答者の7割が「あった」と答えた。 以上により、本活動がきょうだいと親のニーズに対応し、家族内の意思疎通のきっかけとなったことが示され、当該期の支援の在り方に示唆を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の拡大により、当初計画していたアンケート調査回答者のリクルートができず、次年度送りになったことから、計画全体が遅れている状況である。その後、新型コロナウイルス感染症5類移行により、2023年度は、研究協力機関からの許可を得て、支援プログラムの実践研究を実施できる運びとなった。以上のことから、研究期間を延長し、順に1年遅れで研究を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の延長により、アンケート調査→結果分析→それに基づく支援プログラムの開発と実践による検証を進めることができた。2024年度は、研究の最終年度として、国内外の学会等で、研究成果を発信するとともに、地域の協力機関を募って、支援プログラム実践及びワークショップ開催による研究成果の還元を行い、その内容をブラッシュアップする予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画が1年ずつ遅れていることと、また新型コロナウイルス感染症に伴う研究成果を行う予定であった国際学会の開催延期、及び地域への成果の還元のためのワークショップ開催等の延期に伴う費用が未使用となっている。未使用額については、2024年度開催予定の学会発表、及び、研究協力機関でのワークショップ等の開催の可能性を探りながら、そのための費用に充てる予定である。
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