2020 Fiscal Year Research-status Report
読み発達への影響を考慮した屈折矯正の必要性:屈折異常が読み発達に及ぼす影響の検討
Project/Area Number |
20K03052
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
岡野 真弓 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (80320498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内川 義和 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (10331159)
佐藤 司 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 助教 (20782444)
新井田 孝裕 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 教授 (30222730)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 読み発達 / 屈折異常 / 屈折矯正 / 遠視性不同視 / 眼精疲労 |
Outline of Annual Research Achievements |
視機能異常が読み能力に及ぼす影響は、読みの発達段階によって異なることが指摘されている。そこで、読み発達の初期段階にある未就学児および読み能力を獲得した若年成人を対象に屈折異常と読み能力との関係について検討した。 1)屈折異常と読み能力との関係を検討するにあたり、未就学児および若年成人で調節の介入の少ない屈折値を迅速に把握するための方法について検討した。未就学児では、両眼同時測定可能なSpot Vision Screener(Welch Allyn)による他覚的屈折検査と眼球生体計測の併用が適していることを確認した。一方、若年成人では両眼開放型オートレフラクトメータによる他覚的屈折検査または自覚的屈折検査が適していることを確認した。 2)未就学児での屈折異常と読み習得度との関係について横断調査を実施した。未就学児86名を対象に他覚的屈折検査、眼球生体計測および低次(文字の音韻化)および高次(文・文章の理解)の読みの習得度を調査した。現在、データ解析を進めている。 3)若年成人での遠視性不同視シミュレーションが読み能力に及ぼす影響について検討した。若年成人では、遠視性不同視シミュレーションによる読み能力(読み速度、正確性、内容理解度)への影響は認められなかった。しかし、遠視性不同視シミュレーションにより眼精疲労症状スコアは増加し、眼精疲労症状スコアと読み速度、正確性との間に関連が認められた。若年成人での遠視性不同視は、眼精疲労症状が引き起こされた場合、読み能力に影響することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
未就学児および若年成人を対象に屈折異常と読み能力との関係について検討した。未就学児については、現在データ解析を実施している。この成果については、次年度に学会発表および論文投稿により報告予定である。若年成人では、遠視性不同視シミュレーションが読み能力に及ぼす影響について検討し、その成果を国内学会で発表した。論文は現在投稿中である。参加者のリクルート、データ収集と解析および成果発表は、ほぼ当初の計画通り実施できていることから、おおむね順調に研究が進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、小児および若年成人を対象に屈折異常と読み能力との関係について検討し、読みの発達段階別に読み習得に影響する屈折異常の種類と程度を明らかにする。 1)未就学児、小学校低学年児を対象に、屈折異常と読み習得度について横断調査を実施し、両者の関連性を検討する。 2)若年成人を対象に、屈折異常シミュレーションが読み能力に及ぼす影響とそのメカニズムを検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大により、参加を予定していた学会がWEB開催となったこと、小学生を対象とした予備調査に必要な物品、消耗品を購入する予定であったが、その調査の実施が困難となったことが、次年度使用額が生じた主たる理由である。 次年度使用額は令和3年度請求額と合わせて、引き続き研究を遂行するために必要な物品、消耗品の購入、研究協力者への謝礼、論文投稿費に使用する計画である。
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