2021 Fiscal Year Research-status Report
就学前から始める「親子で考える学校生活」に対する医療者からの支援
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20K03055
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
中嶋 理香 日本福祉大学, 教育・心理学部, 教授 (50461116)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 小学校低学年 / 学校生活 / 発達障害 / 合理的配慮 / 環境整備 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的:発達障害児と保護者への学校生活に向けた予期的ガイダンスとして、その方法と医療者の役割を考察することである。2021年度は、通常学級に在籍する小学校1年生・2年生・3年生の保護者からみた学校生活の様子について前年度に実施したアンケート調査(ASIST学校適応スキルプロフィールと生活調査票)の分析にあてた。1)学年による変化、2)発達障害の有無による違いを分析目的とした。対象者は、研究協力校(10校2503人:有効回収率19.6%:以下一般児童生徒)が460人、協力機関(2施設60人:有効回答率65.0%:以下発達障害児)が39人である。結果と考察:80%の保護者は学校生活に満足し、子どもが自分の気持ちを表せていると評価した。学年が上がるとともに学校適応スキルに対する評価も上がり、保護者が子どもの成長を感じている結果だと思われた。発達障害児と一般児童生徒の保護者の違いは、生活習慣を基準にすると、一般児童生徒は言語表現と社会性が高く、手先の巧緻性、行動のコントロールといった個人能力を低く評価した。一方発達障害児は、生活習慣が最も高く、社会性・言語、手先、行動コントロールといった障害特性や個人の能力を低く評価した。通常対応、配慮、支援の段階で支援ニーズを見ると一般児童生徒の保護者は配慮という範囲を想定したが、障害児の保護者は、通常対応と要支援に二極化していた。一般児童生徒では意欲や集中力に対する要配慮が3年生で有意に増加した。生活評価から発達障害児の保護者は、予期しない出来事へ対応できるのかわからないや学習スキルや規範意識に否定的に回答する保護者が多く、環境に子どもを合わせるという発想をしている可能性があった。結果を受けて、医療者は合理的配慮の観点で環境調整を視野にいれる支援が必要である。本報告は、2022年2月27日 心理科学研究会(東海支部:オンライン)にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究責任者の勤務先変更に伴い,研究継続のために新たな勤務先で倫理申請を行う期間が必要であった。そのため集計業者への依頼時期がずれ込んだ。コロナ禍にあり,協力機関との打ち合わせが1度しかできず,2020年度の研究結果を基に行う予定であった事例抽出とその支援の実践ができなかった。 加えて,コロナ禍にあり教育業務が多忙であったことも研究の遅れの要因になった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の研究成果を踏まえて,2022年度4月に入学した発達障害児を対象に現時点での学校生活に関するアンケート調査を6月に実施する予定である。2023年に入学する発達障害児を新たに対象者に加えて,就学前ガイダンスブック「学校準備ノート」を用いて保護者と子どもを対象に予期的ガイダンスを実践する予定である。「6月からの実践開始を目標とし,「学校準備ノート」のアウトラインの作成,印刷を5月中に行う予定である。
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Causes of Carryover |
学会等への参加が少なく,且つオンライン参加であったことから予算と大きく異なった。また,備品を購入する必要がなくなったこと,データ入力業務が予算よりも安価であったことが次年度使用が生じた理由である。今年度は,対面で行われる学会が増え,所属機関の許可下りれば参加すること,「学校準備ノート」(仮名)の作成にあてる。また,協力機関との打ち合わせを2か月に1度行い,実践の報告を受ける予定である。
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