2022 Fiscal Year Research-status Report
心理的バリアフリーを推進する障害の社会モデル発見型学習発達障害版の開発と実践検証
Project/Area Number |
20K03059
|
Research Institution | Tokyo National College of Technology |
Principal Investigator |
黒田 一寿 東京工業高等専門学校, 一般教育科, 教授 (60331998)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 心理的バリアフリー / 障害の社会モデル / 発達障害 / 障害平等研修 / 平等価値 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,キャンパスの心理的バリアフリー推進を目的とし,障害の社会モデルを切り口とする発達障害を問題提起教材に用いた新たな発見型学習プログラムの開発を目指している。 当初の計画では,学習プログラムを対面形式のグループワークで構成し試行する予定であったが,新型コロナウィルス感染症拡大の影響により対面形式の授業が行えない状態が続いたため,計画変更を余儀なくされた。そこで,令和3年度はオンライン形式によるグループワークを試行した。その結果,用いるツールの使い勝手や,参加者の慣れといった影響はあるものの,オンライン形式でもグループワークが成立することを確認できた。ただし,対面形式とオンライン形式それぞれのワークショップにおける成果物を分析し比較した結果,アイデア出しにおけるアイデア数や,アイデアの網羅性,特異なアイデアの出現率において,いずれも対面形式の方がオンライン形式を上回る結果となった。当然の帰結として,オンライン形式における身体性の欠如をどのように補うかが課題であった。 令和4年度は対面形式によるグループワークが実施可能な状況となり,当初計画していた発達障害を問題提起教材に用いた学習プログラムに着手した。本研究に先行して取り組んでいた障害平等研修をモデルとした学習プログラムに,参加者が発達障害における「障害」をどのように捉えるかを問うパートを付加し,実際に5クラス55グループにて実施した。現在,このワークショップにおける成果物を分析中であり,その結果を令和5年度に発表する計画である。この分析結果を踏まえ,オリジナルの発達障害をテーマとした問題提起教材を作成する。 またようやく国内外への出張が許される状況となったことから,障害平等研修に関する調査も実施し,その成果をまとめたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査に関しては,当初の計画では初年度となる令和2年度に国内外の障害平等研修(DET)の実地調査を行う予定であったが,新型コロナ感染症の拡大によって海外への渡航はおろか国内の移動も制限され,その状況は令和3年度も継続し,これらの調査を実行することができなかったが,取材機器および学習プログラムを評価するための録音・録画に必要なシステムの構築は進めることができた。令和4年度に入ってようやく事態が改善し,現在は国内外への出張が許される状況となった。本研究において重要な資料の収集が見込まれる調査であるため,令和5年度は研究計画最終年度ではあるものの,計画を柔軟に変更しながら引き続き調査を実施し,教材作成に活かしたいと考えている。 教材開発については,令和4年度は対面形式によるグループワークが実施可能な状況となり,当初計画していた発達障害を問題提起教材に用いた学習プログラムに着手することができた。本研究に先行して取り組んでいた障害平等研修をモデルとした学習プログラムに,参加者が発達障害における「障害」をどのように捉えるかを問うパートを付加し,実際に5クラス55グループにて実施した。現在,このワークショップにおける成果物を分析中であり,その結果を令和5年度に発表し,論文投稿する計画である。この分析結果を踏まえ,オリジナルの発達障害をテーマとした問題提起教材を作成する。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在,令和4年度に実施した対面形式によるグループワークにおける成果物の分析を進めており,この学習プログラムの参加者が,障害の社会モデルを発見したのちに,発達障害における「障害」をどのように捉えたかを明らかにする。この結果を踏まえ,発達障害をテーマとしたオリジナルの問題提起教材を作成し,これを用いた学習プログラムを実践し,評価を行う計画である。またこのプログラムを,対面・オンライン両形式のハイブリッドでまとめられるよう進めていきたい。
|
Causes of Carryover |
国内外の調査を予定していたが,それが実施できなかったため旅費を繰越しとすることとなった。現在は国内外への出張が許される状況となっており,本研究において重要な資料の収集が見込まれる調査であるため,令和5年度は研究計画最終年度ではあるものの,計画を柔軟に変更しながら引き続き調査を実施したい。
|