2020 Fiscal Year Research-status Report
ARによる可視化教材を用いたアクティブラーニングによる力学概念の形成調査
Project/Area Number |
20K03063
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
青木 悠樹 群馬大学, 教育学部, 准教授 (60514271)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
弓仲 康史 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (30272272)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | AR / 科学教育 / 学習支援システム / ICT / 画像解析 / 遠隔実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
学校現場に配備される,タブレット端末を有効に用いた科学教育の教材として,以下に説明する3つのシステムを開発し論文発表を行なった。 第一に,タブレットのタッチパネルを用いた力学実験教材を開発した。タッチパネル上で実際の力学実験を行うことができることを特徴とするが,学習者の実験結果をサーバーで自動解析するシステムを実装した。このことにより,従来の力学実験法では測定することができなかった動摩擦係数を測定することができるようになり,学習者の力学における深い理解に結びつけることが可能となったことを示した(The Physics Teacher,物理教育誌に発表)。 第二に,タブレットを用いたAR黒板のシステムを開発した。本システムを使うことで,これまで他の学習者の意見を学習者の方角をタブレットのカメラで見ることで知ることができるため,新たな意見共有ツールとなりうることを示した(ICTSS2020のプロシーディングに発表)。 第三に,三次元的に運動する物体認識を行うことで,実験結果をタブレット端末上にAR表示するシステムを開発した。このシステムを用いることで,遠隔地において実際の力学実験の結果を知ることができるようになった(Physics Educationに発表)。また本システムを改良することで現実の実験では変更することが難しい力学パラメータを変更した際の結果をARで表示することができるようになった(投稿中)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在のコロナ禍における科学教育では,座学についてはオンラインでの実施が可能であるものの,物理実験を対面で行うことができないことが大きな問題となっている。本課題で開発したトラッキングシステムは,実際の力学実験を遠隔地において結果をARとして確認することができるという点において,新たな教育手法を提案できたと考えている。特に,投稿中の論文では自由落下などの速い運動検出が可能であり,複数の物体を同時に検出することで剛体の運動も理解することができることを示した。更に,AR表示においては現実の実験系では変化させることが難しい,重力などのパラメータを仮想的に変化させた結果を示せるという観点から,より直感的な物理理解に結びつけることが可能となった。 計画ではステレオ法とToF法を検討し比較することとしていたが,屋内での実験ではステレオ法の方が,より実験精度が高く,開発したステレオ法によるシステムが有効であることを示した。 以上より,当初の計画以上に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
開発したステレオ法による三次元認識システムに,機械学習を実装することで,多数の物体を同時に検出するシステムの開発を目指す。機械学習を用いることで生物の個体ごとの位置や細かい挙動を追うことで,物理教育のみでなく生物教育への活用を検討し,幅広い科学教育におけるICT活用の実装を目指す。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍において学会がオンライン開催となったため,次年度使用額が発生することとなった。研究が予定と比べて速やかに進行しているため,生物教育を含めたより広い科学教育のシステム開発して用いることを検討している。
|