2021 Fiscal Year Research-status Report
学習階層分析によるライティングチュートリアルプログラムの開発
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20K03067
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Research Institution | Future University-Hakodate |
Principal Investigator |
冨永 敦子 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (60571958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向後 千春 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (00186610)
岡村 浩昭 鹿児島大学, 理工学域理学系, 教授 (30244221)
伊藤 恵 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (30303324)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 学習階層図 / ライティング / 語彙 / SP表 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は4カ年を計画しており、1年目である2020年度は、1)プロトタイプとして語彙に関する学習階層図を作成した、2)学習階層図の最下位層の「単語の意味を説明できる」の問題(以下、意味問題)を作成した、3)大学生に解答してもらい、S-P表により妥当性を検証した。 2021年度は研究期間の2年目として、1)語彙に関する学習階層図内の「文脈にあった適切な単語を選択できる」の問題(以下、文脈問題)を作成した、2)2020年度の調査と同じ大学生に回答してもらい、解答データをS-P表により分析し、妥当性を検証した、3)文脈問題と、2020年度実施した意味問題の成績を比較した。 1)文脈問題の作成:「文脈にあった適切な単語を選択できる」というスキルを評価するために、選択式のテスト問題40問を作成した。問題として提示する文章は、情報通信白書、日本語辞書、類語辞典から選択した。 2)作成した問題の妥当性の検証:インターネット調査会社を利用し、大学生を対象にテストを行った。2020年度に単語問題に回答した大学生182名に解答を依頼したところ、134名の解答があった。そのうち、途中放棄の6名を除外した128名(男性60名、女性68名)を分析対象とした。解答データをSP表により分析した結果、標準学力テストなどに多く見受けられる解答パターンであることが示された。40問中、良好が35問、準良好1問、要検討が3問、不良が1問であった。 3) 文脈問題と意味問題との比較:SP表で不良と判定された問題(意味問題4問、文脈問題1問、計5問)を除外し、残りの問題の正解率を比較した。意味問題の正解率の平均は44.51%(SD=0.21)、文脈問題は58.45%(SD=0.26)であった。対応ありのt検定の結果,5%水準で有意であった(t(126)=7.87, p=.00)。両問題の正解率の相関係数は0.65であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度に引き続き新型コロナウイルス感染症対策のため、オンライン授業を実施することになり、その準備・実施・アフターフォローに多くの時間を要することになった。そのため、研究を集中的に進めることができなかった。語彙に関する学習階層図の一つである、文脈問題の作成・実施・分析にとどまった。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目である2022年度は、語彙に関する学習階層図の各階層のテスト問題を作成・実施し、その結果を項目反応理論により分析することを目的とする。具体的には以下の2点を行う。 ・4種類「複数の単語を抽象度の順に並べる」「複数の単語をグループ分けできる」「情報の関係性を判断する」「類義語/対義語を挙げる」問題をそれぞれ作成し、テストする。 ・解答データを項目反応理論により分析する。 過去2年の研究により、テスト問題作成のノウハウ(どのような選択肢が適切か/不適切か)、SP表による問題の妥当性の検証方法、調査会社を利用してテストを実施する際の留意点を蓄積することができた。この蓄積により、試行錯誤で進めてきたテスト問題の作成・テスト実施・分析の一連の流れを2022年度はスムーズに進めることができると考えられる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症対策のため、出張をともなう研究打合せをオンラインによる打合せに変更した。また、対面での作業が難しいため、作問作成およびサーバー保守のためのアルバイト要員を雇用することができなかった。なお、調査費用は、研究代表者の学内研究費からまかなった。 2022年度は、以前よりは出張をともなう研究打合せができるようになると考えられる。また、問題の妥当性を検証するための調査費用も必要となる。これらに予算を充てる予定である。
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