2021 Fiscal Year Research-status Report
電子デバイスを用いた正確なバイタルサイン測定の実践能力獲得に向けた技術教育革変
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20K03069
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Research Institution | Kanagawa University of Human Services |
Principal Investigator |
渡邉 惠 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 講師 (40719499)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 血圧測定 / 正確な測定 / 看護基礎教育 / 教育プログラム / 実践能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021度は、臨床で学生が遭遇する可能性が高い患者の状況や、物品や環境が異なる臨床現場の実態を反映させた教育として、正確な血圧測定の実践能力習得にむけた「状況基盤型教育プログラム」を開発した。
まず、多様な臨床の場面にも対応可能な「バイタルサインの正確な測定 実践能力チェックリスト(VSAMチェックリスト)」を開発し、その内容妥当性・信頼性を検証した。VSAMチェックリストの素案は「バイタルサインの正確な測定」の概念分析の結果を主軸に全18項目を抽出した。チェックリストの内容妥当性検証には看護基礎教育に携わる看護教員8名による修正デルファイ法(3回の調査)を用いた。信頼性の検証は、看護学生(3年次)24名に客観的臨床能力試験(OSCE)を行い、kappa係数0.61以上の評価者間一致率を用いた。内容妥当性指数及び評価者間一致率は概ね基準値を示し、チェックリスト全体のCVI(S-CVI/Ave)は0.88となった.チェックリストの活用可能性をより高めるためOSCEを通して各項目の表現を洗練し、最終的に全15項目のVSAMチェックリストが完成した。次に、看護学生(2年次生)を対象とした無作為化比較対照試験を実施した。測定方法の説明(p=.004,φ=.415)や,安楽の保持(p=.051,φ=.327)など患者への対応力を示す4項目で介入の効果が認められた。基礎看護を学ぶ低学年(2年次生)においても、患者の多様な状況に対応しながら血圧を測定する実践能力やその必要性を習得することができ、プログラムの効果が明らかになった。
臨床現場の状況を基盤にした教育の導入は、血圧測定をはじめ、バイタルサインの正確な測定の実践能力向上にむけた有用な方法として期待できる。現在、結果の公表に向け、論文の執筆を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は教育プログラムの開発とその効果の検証を行う予定としていた。教育プログラムの開発とパイロットスタディの実施、本調査までの一連のスケジュールは予定していた通りに実施できている。 論文執筆作業に着手できている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、本調査の論文執筆作業中である。パイロットスタディの実施及び、アウトカム評価のための測定ツール「VSAMチェックリスト」の作成についてはすでに論文化し、公開待ちである。 このチェックリストは、多様な臨床場面において活用することができる汎用性の高いものであり、看護基礎教育の現場や現任教育など幅広い分野で活用可能と考える。 今後は、本調査の論文を投稿し、教育の成果を公表することで、臨床現場の状況を基盤とした教育の普及につなげたい。 COVID‐19による臨地実習の縮小が余儀なくされている看護基礎教育において、臨床実践能力を育む新たな教育の開発とその普及に向けて引き続き活動を行っていく。
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Causes of Carryover |
2021年度はコロナ禍により、チェックリスト作成のためのエキスパートとの会議はすべてオンラインとなり、旅費や昼食代などが発生しなかった。また、学術集会もオンライン開催が中心となり、交通費や宿泊費が発生しなかった。 次年度は可能な限り現地開催の学術集会に参加する予定である。また、血圧測定機器のメンテナンスやマニュアル作成など、学生は正確な測定技術を習得するための環境の整備を強化する。 技術教育の改革のため、血圧測定シミュレーターの購入を検討する。
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Research Products
(1 results)