2021 Fiscal Year Research-status Report
言語聴覚士養成課程における「音響学教育」の現状調査と授業ガイドライン、教材作成
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20K03074
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
竹内 京子 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 非常勤講師 (30866497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 直史 北海道大学, 情報科学研究院, 助教 (80322832)
荒井 隆行 上智大学, 理工学部, 教授 (80266072)
世木 秀明 千葉工業大学, 情報科学部, 准教授 (60226636)
安 啓一 筑波技術大学, 産業技術学部, 講師 (70407352)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 音響学 / 聴覚心理学 / 言語聴覚士養成校 / カリキュラム / 教材作成 / 音響学教育 / 現状調査 / 教師間連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、言語聴覚士養成校で必修科目であるにもかかわらず、学生が苦手意識が非常に強い「音響学」(聴覚心理学を含む)の授業をどのように改善していくか、そのための現状調査、カリキュラム、教材作成、教師間連携作りを目的としている。 本年度も新型コロナウィルスの影響で、初年度に予定していた全国の言語聴覚士養成校の教員に対するアンケートの実施を延期せざるを得なかった。しかしながら、昨年度末に開始した「STのための音響学」という講習会を第10回までオンライン開催し、全国から沢山の言語聴覚士の方々に参加していただいた。開催にあたり、日本音響学会音響教育委員会、日本音声学会、東京都言語聴覚士会という関連学会、協会からの後援をいただけたのも、社会におけるネットワーク作りを目的とする本研究にとって、大きな収穫であった。 講習会のアンケートで、実際の臨床における音響学、聴覚心理学の応用の現状調査も同時に行なった。その結果、「音響学」「聴覚心理学」で学習したことは、臨床では、ほとんど活用されていない、養成校の授業と臨床との関係もあまり感じられていないなど、当初は想像していなかった問題点が浮かび上がって来た。 これらは、この講習会で現役言語聴覚士との交流があったからこそ得られた貴重な本音である。言語聴覚士養成校の授業は、学校の中では完結しない。卒後の臨床に生かされてこそである。この講習会は何が本当に必要なのか、どのように応用できるのかを共に考えるきっかけの場を作った。また、授業は教材や教授法の改善以前に大切なものがあるということを考えさせられた。 さらに、本年度は、音響学教師が授業の悩みや教授法などの相談などができる「教師間のつながりの場」をSNSを活用して作った。今後は、参加者を増やし、教師間連携、教授法の研究を進めるとともに、その結果を実際の授業にフィードバックしていくという流れを作っていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度もコロナウィルスの影響で、初年度の行う予定の養成校に対するアンケートを行えなかった。しかしながら、昨年度末に開始した「STのための音響学」というオンライン講習会を第10回まで計9回開催し、講習会後のアンケートが、養成校で行う予定だった調査を補う内容となった。講習会の内容は、音響学、聴覚心理学の授業の復習、録音の工夫や注意点、音声の音響分析のためのソフトの使い方、音声読み上げソフト「マイボイス」の使い方など、臨床に役立つと思える内容のものを開催した。実際の臨床での使用例などを紹介し、参加者が現状をディスカッションする回も設けた。毎回の講習会で様々なアンケートを行い、養成校の現状や、臨床における活用状況などを調査することにより、臨床において何が必要なのか、現状はどのような状況なのかが見えてきた。 しかしながら、アンケート調査の結果は、当初予想していたものと違っていた。「音響学」が苦手、嫌いであることは変わらないが、臨床における活用方法のみならず、音響学教師が想定していた聴覚検査、補聴器、人工内耳の授業との関連を感じていないなど臨床との接点が見えない結果であった。音響学教師と言語聴覚士の両者の考え方の違いが示され、授業教材やカリキュラムの作成においても、今後、これらのことを考慮しなくてはいけないということが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、まず、本年度できなかった、全国の養成校の音響学教師に対して、音響学の授業の現状のアンケート調査をする。その後、各養成校の音響学教師間のつながりを広める活動を行う。前年度まで開催した「STのための音響学」の講習会も続け、これを現役言語聴覚士のためだけではなく、音響学教員間の授業見学や実践報告などの目的にも使い、音響学教師の研修の場にもなるようにする予定である。 さらに、本年度初めて行った「音響学の臨床での活用方法」について参加者が考える講習会を、次年度も開催し、言語聴覚士と音響学教師が臨床に何が必要であるのかについて、一緒に考える機会を作りたいと考えている。
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Causes of Carryover |
初年度に行う予定だったアンケート調査が行えなかったので、その予算が次年度に繰り越しとなった。次年度最初に、このアンケート調査を行い使用する予定である。
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