2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K03075
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
渡辺 博芳 帝京大学, 理工学部, 教授 (40240519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 誠 帝京大学, 理工学部, 助教 (60613065)
眞坂 美江子 帝京大学, 理工学部, 講師 (70583269)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 教育学習支援情報システム / 汎用的能力 / ルーブリック / 自己評価 / コンピテンシー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,高等教育における汎用的能力の評価のための情報システムを開発し,実際にシステムを実装して有用性を検証することを目的としている.評価のための情報システムは,基本システムとオプション機能に分けて開発することとし,2021年度までに基本システムの開発を行い,情報電子工学科の複数の授業,および3年生と4年生のワークショップで使用して有用性を確認した.本研究で開発するオプション機能について検討を行い,授業でニーズの高い学生間の相互評価機能を開発することとした.この相互評価機能を設計し,一部の開発を進めた. また,2022年度は,汎用的能力の評価を目的とした本システムであるが,コンピテンシーの自己評価にも利用できる可能性について検証した.具体的には,奈良看護協会における災害看護研修を企画・実施している研究チームと連携して,災害看護コンピテンシーの自己評価において本システムを活用した.災害看護コンピテンシーは,ibstpi(R)の教育専門職やオンライン学習者のコンピテンシー標準を参考にドメイン,コンピテンシー,行動記述の3層構造で表現されている.奈良看護協会における2022年度の災害看護研修はeラーニングと対面研修から成り,eラーニングによる学習前後に本システムを用いたコンピテンシーの自己評価を行った.研修後の受講者へのアンケートやヒアリングにより,本システムが ibstpi(R)のコンピテンシーモデルによって表現されたコンピテンシーの自己評価において有効に機能することが示された.一方で,本システムをスマートフォンから利用する際に使いやすさの点で課題があることがわかった. 開発したシステムは階層構造を持つルーブリックを評価指標として自己評価を行えるシステムであるので,汎用的能力に限定されない活用が期待されることを実証できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度はオプション機能の開発を行う予定であったが,思うように進捗しておらず.部分的な開発に留まっている.オプション機能は,プレゼンテーションの相互評価を想定して,個人による発表とグループによる発表があり得ること,クラス全体で発表会を行う場合とクラスをいくつかのグループに分けてグループ内で発表会を行う場合があり得ること,さらに自分では発表をせずに評価のみを行う参加者があり得ることなど見いだされた.これらの多様なケースへの対応について設計を確認するために時間を要した.また,研究成果を査読付ジャーナル論文にまとめる作業が難航している.以上の点に関しては,研究の進捗が遅れている. 一方で,汎用的能力以外の評価に関して,具体的に災害看護研修におけるコンピテンシーの自己評価に本システムを活用し,研修の中での自己評価活動に有効に機能していることを示すことができた.これらは,当初予定はしていなかったが,本研究において有益な成果である.この点では重要な進捗があったと言える. 以上を総合的に見て,やや遅れていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
研究の推進方策として,研究期間を1年延長することとした.延長した研究期間内で,進捗が十分ではないオプション機能について,開発を行いたい.また,研究成果と関連研究などの再整理を行った上で,査読付論文の形でまとめたい.これらの活動において,開発を主として担当する研究者のエフォートは開発に向けられるよう,作業の分担を見直したい.
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Causes of Carryover |
研究進捗がやや遅れていたため,予定していた研究成果発表のための旅費・参加費や論文掲載料が支出されなかったことが主な要因である.本研究期間を1年延長したので,次年度使用の研究助成金は,研究成果発表に関わる参加費や旅費,論文掲載料のほか,システムのオプション機能の開発に必要な経費にあてる予定である.
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Research Products
(2 results)