2022 Fiscal Year Research-status Report
プラスチックを対象にしたものづくり教育教材の開発と授業への展開
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20K03087
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Research Institution | Kobe City College of Technology |
Principal Investigator |
尾崎 純一 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (70245976)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ものづくり教育 / プラスチックi / 成形 / 簡易型 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ものづくり教育に近年身近になったプラスチック材料とその成形法を教材として取り入れることを目的とし,簡便にプラスチック成形が行える卓上射出成形機の製作および成形に必要となる簡易型の製作方法について検討を行ってきた. 2020年度は教材として活用するための卓上型のプラスチック成形機の試作を行った.PBL授業でも製作することを念頭に出来るだけ扱いやすい構造にするため,主に樹脂(ペレット)の投入方法や射出機構を工夫したプラスチック成形機の製作を行った.2021年度から2022年度にかけては,成形に必要となる簡易型の製作方法について検討を行った.簡易型の設計にはフリーの3DCADソフトを活用し,3DCADソフトに附属するCAM機能を用いてCAMデータを生成し卓上CNC加工機により型の製作まで行えるようになった.最終的には割型の製作も可能であることが確認できた.さらに,2種類の3DCADソフトを用いて操作性やCAMの処理時間などを比較し授業に導入しやすさについても検討を行った.また,2022年度にはプラスチック成形機の製作を授業に取り入れるための前段階として,試行的に3年生のPBL授業において一部のグループで卓上型射出成形機の製作をテーマに授業に取り入れた.授業では成形機の構造など基本設計から検討し製作までを行い,プラスチック成形機の製作がPBL授業に取り入れられることを確認した. 一方,1年生の設計製図授業においては,立体図の作図課題としてプラスチック成形の対象と考えているキーホルダーの作図を取り入れた.手書き製図がメインであるが,3DCADの紹介を行った上で希望者だけではあるが3DCADでの作図にも取り組んだ.3DCADにより作図した作品については3Dプリンタによる造形も行い3DCADの有用性について理解を深め,プラスチック成形に対する動機付けとした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究当初から新型コロナ感染拡大の影響を受けており,当初の計画通り研究を進めて行くことが困難な状況にあった.特に授業を通常通り実施することが出来ない状況が続いたこともあり,2022年度になってPBL授業において試行的にプラスチック成形機の製作をようやく行なうことができた.まだ新型コロナ感染による影響が若干あったものの,2021年度のように休校措置が取られることもなく授業が行えたことにより,プラスチック成形機がほぼ完成できるところまで製作できることが確認できた. 製作されたプラスチック成形機は,これまで試作してきたものとは異なり横型タイプのものであった.ただ,製作テーマとして導入した授業では,学生らは初めて本格的なものづくりを体験していることと,機械工学における設計に必要な三力(材料力学,熱力学,流体力学)のほとんどを学習していない状況であることから,設計段階において検討すべき項目について自ら解決していくことは難しいことが確認され,力学的な設計や加熱および射出性能に関する検討が十分ではなかったため,製作したプラスチック成形機では加熱不足と射出圧力不足がとなってしまい,実際にプラスチックを成形することは困難であった.また,昨年度の授業では簡易型の設計製作までは取り組むだけの時間が確保できない状況であった.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度(令和5年度)は,授業への展開として昨年度の試行からさらに一歩進め,プラスチック成形機の製作グループを増やす予定である.取り入れる授業はPBL授業であることから成形機の基本構造や射出機構を学生達に検討してもらい設計を行っていく予定である.昨年度は簡易型の製作までは対応ができなかったことから,今年度は製作グループのメンバーを増やして対応する予定である.また,できるだけ早い段階から簡易型の設計製作にも取り組むようなスケジュールを考えている. 2023年度は本研究の最終年度であるため,本教材をPBL授業に導入したことにより,どのような教育効果が得られたのか評価・検証を行う予定である.
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Causes of Carryover |
本来,令和4年度(2022年度)が本研究の最終年度であったが,新型コロナ感染拡大による影響で,本研究の進捗状況に遅れが生じたため,研究期間を1年間延長している.令和5年度(2023年度)は,本研究の最終年度として,PBL授業においてプラスチック成形機の製作を2グループで行う予定であり,予算は主にその製作費として使用する予定である.
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