2020 Fiscal Year Research-status Report
多肢選択式非教科・科目型試験の妥当性と受験者集団の特徴抽出に関する研究
Project/Area Number |
20K03089
|
Research Institution | The National Center for University Entrance Examinations |
Principal Investigator |
櫻井 裕仁 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 教授 (00333625)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 妥当性 / 言語運用力試験 / 数理分析力試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,多肢選択式の非教科・科目型試験の妥当性(測ろうとした能力を測れる試験になっているか)に関して,実データによる検証および統計的分析に基づき,非教科・科目型試験の開発に有用な知見を得ることを目的とする。多肢選択式の非教科・科目型試験として,言語運用力・数理分析力試験を取り上げる。ここで,言語運用力試験とは,情報の把握(L1),内容の理解(L2),推論と推察(L3)の能力を測ろうとする試験であり,数理分析力試験とは,数理的な表現・原理の理解(M1),ルール・法則性の理解と適用(M2),資料からの情報抽出・整理(M3),帰納的・演繹的推論の適用(M4)の能力を測ろうとする試験である。 本年度は,難度の高い言語運用力・数理分析力試験の問題を解答した大学1年生の調査データに基づいて同試験の妥当性と受験者集団の特徴抽出に関する研究を行った。ここで調査データは,言語運用力・数理分析力試験の得点データ,センター試験の各科目の得点データ,基本的な能力・資質に関するアンケートの回答データ,の3種類から構成される。言語運用力・数理分析力試験とセンター試験の得点データとの関係を調べたところ,言語運用力・数理分析力試験は,センター試験とは異なる側面を評価している可能性のあることが示唆された。また,言語運用力・数理分析力試験の得点データとアンケートの回答データとの関係を調べたところ,言語的素養をある程度身につけていると考えている集団は言語運用力・数理分析力試験の言語系および言語・数理系分野の得点が高い傾向にあり,数理的素養をある程度見つけていると考えている集団は言語運用力・数理分析力試験の数理系および言語・数理系分野の得点が高い傾向にある,という相関関係が見られた。これは,言語運用力・数理分析力試験の望ましい性質であると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,難度の高い言語運用力・数理分析力試験の問題を解答した大学1年生の調査データに基づいて同試験の妥当性と受験者集団の特徴抽出に関する研究を行い,研究実績の概要の項で述べたような知見が得られた。研究実績の概要の項で述べた研究目的に関する研究成果が得られており,本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度と同様な方針により,今後も本研究課題を進める予定である。すなわち,言語運用力・数理分析力試験の妥当性と受験者集団の特徴抽出に関する研究を進め,得られた研究成果は,学術論文としてまとめたり各種の研究集会で発表したりする予定である。また,国内外の文献調査や各種の研究集会への参加などにより,本研究に関連する情報収集を引き続き行う。
|
Remarks |
桜井裕仁・椎名久美子・荒井清佳・伊藤圭・宮埜寿夫(2020).難度を高めた言語運用力・数理分析力試験に関する特徴抽出.大学入試センター研究開発部リサーチノートRN-20-05.
|