2020 Fiscal Year Research-status Report
「地域への目覚め」を介した日本型複言語・複文化教育モデルと複文化教育交流実験検証
Project/Area Number |
20K03090
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
熊野 真規子 弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (50215026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 梓 近畿大学, 法学部, 准教授 (90713636)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 複言語・複文化教育 / 学習活動デザイン / 地域志向科目 / 文化変容 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、15K12904 で申請者らが構築した「プロジェクトモデルの基盤」および地域・学習環境の異なる学生らを対象とする「文化教育ツーリズムの交流実験」を発展させ、多分野に応用可能な日本型複言語・複文化教育モデルを確立することをめざしている。 2020年度は、新型コロナの影響により研究の基盤となる複言語・複文化教育プロジェクト〔フランス語モデル〕の学習活動デザインについて種々の変更を迫られ、代表者・熊野は、年度当初からコロナ禍の状況を貴重な学びの機会にいかせるよう検討を行った。フィールドワークのオンライン実施とその参与観察を試みたほか、屋外での地域イベントの対面実施(感染症対策ならびにオンライン企画を含むハイブリッド型)にこぎつけた学生主体活動について、参与観察ならびに実施後のリフレクションのアンケート分析を行った。 分担者・高橋は動詞的教養教育の理論構築として、国際文化学的観点から動詞的文化の定義を試み、同時にその手法を取り込んだケースメソッド型ワークショップを開発し、地域文化の学びを日常の課題解決に繋げるメソッドの実践と検討を行った。 複文化教育交流実験の中止により、連携研究者の研究班は遠隔地からの移動をともなう弘前市での対面での参与観察を実施できなかったが、学生が計画したオンライン企画については、分担者・高橋ならびに連携研究者らにモニター参加を依頼し、オンラインで参与観察を行うことをつうじて来年度以降の比較考察につなげることとした。 「地域への目覚め活動」を通じた複言語・複文化教育実践については、学生らの取材活動をつうじた「地域への目覚め」については実施し、新規の地域言語(津軽弁)については学生負担を考慮して来年度以降に見送ることとし、分担者・高橋より企画提案のあった「オンライン・トークセッション」のイベント内配信録画を学生らに視聴させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
複文化教育交流実験については、新型コロナの状況により中止の判断をしたため当初計画より遅れている。 「地域への目覚め活動」を通じた複言語・複文化教育実践については、学生らの取材活動をつうじた「地域への目覚め」についてのみ実施し、新規の地域言語(津軽弁)についてはコロナ禍による学生のメンタル状況や負担を考慮して来年度以降に見送ることとし、分担者・高橋より企画提案のあった「オンライン・トークセッション」のイベント内配信を学生らに視聴させることで終えることとなった。 代表者は研究の基盤となる複言語・複文化教育プロジェクト〔フランス語モデル〕の学習活動デザインの検討を実施、分担者・高橋は独自開発したオンライン型ワークショップを近畿大学の私設研究会「フランス・トライアングル研究会」にて実践し、在関西の学生の地域文化への気づきを確認した上で、弘前大学との学生交流会(オンライン)を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
基盤となる継続課題を実施する研究班(A)〔授業プログラムデザイン「地域と世界をつなぐ」:学びと気づきの深化を促すデザイン〕は、履修継続者が途切れたことから2021年度からの各学期完結の新規授業デザインによる授業の履修生を対象に参与観察・リフレクション・アンケート分析等を行う。 研究班(B)〔「地域への目覚め活動」と日本型複言語・複文化教育の手法〕は、津軽弁をモデルとする「言語への目覚め」について新規の短期集中型の授業プログラムとして実施し、コロナ感染状況に応じて、弘前市での学生交流またはオンラインでの交流を実施し、その参与観察を行う。2020年度に予備調査ができなかったため、2021年度の成果をもとに複言語・複文化教育としての可能性と活動デザインを検証し、2022年度と2023年度に、異なる学生を対象とした本調査を実施することで錬成をはかることとする。 研究班(C)〔「動詞的教養教育」:関心×地域×フランス:学生の大学間交流による変容 分析〕の分担者・高橋は、近畿大学フランス・トライアングル研究会所属の学生を対象に、関西の地域文化(地域史)を題材とするフィールドワークおよびワークショップを定期開催し、地域文化に関する意識の変容の質的調査を行った上で、弘前市での学生交流を実施してその参与観察を行う。 連携研究者による(D)〔プロジェクト型ラーニングの持続可能性:持続可能性の要因分析、学びの能動性の考察〕(E) 〔ローカリティ調査:学び/教育、グローバル意識:ローカリティとモデルの応用可能性考察〕については、コロナ感染状況に応じて、弘前市での学生交流の参与観察・インタビュー等を実施し、それぞれの分析・考察のフィードバックを全体に対して行う。
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Causes of Carryover |
複文化教育交流実験の中止により、参与観察・インタビュー等の対象である学生(神奈川県、大阪府)および遠隔地からの分担研究者・連携研究者の移動にかかる旅費等が未使用であるため。2021年度の計画で、一年遅れで実施する予定である(※本報告書作成時点は、ふたたび感染状況が急激に悪化しており、先行きは不透明)。
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