2020 Fiscal Year Research-status Report
とっさの判断から展開する対話、表現活動を取り入れた授業内活動の設計、実施と評価
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20K03105
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
保崎 則雄 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (70221562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤城 晴佳 早稲田大学, 人間科学学術院, 助手 (00824559)
山地 弘起 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 教授 (10220360)
斎藤 隆枝 国際医療福祉大学, 総合教育センター, 助教 (20827802)
土井 香乙里 ものつくり大学, 技能工芸学部, 講師 (60409703)
北村 史 長崎大学, 情報データ科学部, 助教 (90613860)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | オンライン型授業 / 協働作業 / ものづくり / 映像制作 / 相互評価 / 修正作業 / プレゼンテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は対面授業が一度も行われなかったため、本研究課題を対面式授業から、オンライン式の同期型Zoomでの授業と、オンデマンド映像を組み合わせた授業スタイル変更を余儀なくされ実施した。そのような中でデータ分析のもとに明らからになった点は以下の点である。 1)同期型のオンライン授業では、準備する回答に対して、即興的な問い掛けに対してより主体的に取り組む態度が見られた。このことは反転学習などとのバランスをうまくとる必要があるとも考えられる。 2)隣の学生の目を気にせずにプレゼンテーションなどでの発表が、対面時よりもスムーズにできたのではあるが、授業内でのコミュニケーションがどうしても担当教員との1対1の関係となりがちであった。 3)オンラインにおけるグループ活動では、指示を明確にする必要があり、議論する時間もその都度変化を持たせて話し合うようにするほうが効果的であり、グループメンバーの交替や人数にも変化を持たせることによって主体性、活発さ、参加意欲などの点で違いが見られた。 4)オンライン(Moodle->Zoom) での授業では、教員を見るということと同様に自分の姿、表情などに関心が行く傾向があり、そこで対人関係というのは、教員が意図的に課題を出してグループに分けなければ、ややもすると、1対1のtutoringをしているような状態が、同時に複数のラインで成立してしまっているような様子であった。表情は明らかに対面式授業よりも平板になりがちであり、上半身の動きはほとんど観察できないという授業がほとんどであった。 この点は、翌年度への課題にもなるが、学生同士と授業という学びのコミュニティでの社会性の構築が難しく、相手との関係、ポジション、期待などの正統的な構築にかなりのぎこちなさが観察されたことは興味深かった点である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
元々の研究課題は、対面式授業における対話活動と身体コミュニケーションの統合的な分析を想定していたが、COVID-19発生のため、すべての授業がオンラインになった。そのため、対話分析に身体動作分析より、協働作業の進め方により強く焦点を当ててデータ収集し分析することにした。また、受講大学生の振り返りで授業活動を分析するという手法も取り入れた。その結果、以下のことが明らかになった。 授業最後のReflection sheet が例年の手書きではなく、タイピングとなり、私のコメントなどが印刷されたsheetに直接書き込み、PDFでのメール添付で返却という手段となり、この点での学生の反応がどのようなものなのか、春学期の最後にチェックする予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、またオンライン式授業が基本ではあるものの、秋学期からは対面式授業の回数も増えることを想定、期待する。現在のオンライン授業での対話分析、振り返り、オンラインでも協働作業によるコミュニケーション活動の実態を参考にして、オンラインでの対話活動の特徴を、ものづくりの授業ではどのような課題、利点を生み出すのかということに注目してデータ収集、分析を行うことを予定している。 その中で、対話コミュニケーション、協働作業、映像制作 という3つのキーワードを中心に、制作活動をグループ内での対話、齟齬、合意形成という面から分析することを考えている。
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Causes of Carryover |
2020年度は対面式授業でのデータ収集において、大学院生、学部生の補助作業を依頼しなかったため、謝金などに伴う人件費に余剰ができ、また、新規購入予定のビデオカメラやICレコーダなどの費用においても未使用額が生じた。2021年度も大学の方針で春学期の授業は対面が非常に限定的ではあるが、ワクチン接種状況などが加速すると仮定して、秋学期に対面授業が増えると予想されるため、そこに研究費をより多く投入してデータ収集、解析などを行うことを計画している。
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Research Products
(7 results)