2021 Fiscal Year Research-status Report
Construction of supporting system for high school/university articulation of Project-Based Learning subject and validation of its efficiency
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20K03108
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮田 孝富 金沢工業大学, 基礎教育部, 講師 (30329114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦 正広 金沢工業大学, 情報フロンティア学部, 講師 (40745072)
田中 孝治 金沢工業大学, 情報フロンティア学部, 准教授 (60583672)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | PBL / 高大接続 / 知的財産権 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,オンラインPBLとその報告会の実施,およびシステム構築に向けた情報収集を行った.結果,本研究課題が掲げる「学習者が大学のPBL科目において,高校までに経験してきたPBLで学んだことを転移可能な知識として説明する支援を行うシステムをいかに構築するのか」という問いの解に繋がる知見を得た. コロナ禍により高校のPBLの現地調査は今年度もかなわなかったが,高校生を対象としたオンラインPBLプログラムを実施し,参加者から自身が経験したPBLについての情報を収集した.また,同プログラムのオンライン報告会を開催し,参加したPBL指導経験者・予定者の高校教員らを対象に情報を収集した.これら調査から,(1)PBLの知的財産権の取り扱いが未整理である現状,(2)過去のPBLの内容や学びの誘発における学習者の記憶の活用可能性が示された. (1)については,文献・事例調査および参加者への情報収集を通して,PBLにおける学習者の成果物において,ポスター等の「発表成果物」と比べて進捗報告等の「学習成果物」の知的財産権に目が向けられていない現状が明らかとなった.この現状をまとめ,法律も含めた情報分野に関する広範囲な学際的領域を対象とする研究会で報告し,専門家と議論することで確証を高めた.(2)については,上述のPBLプログラム参加者に,同プログラムの振り返りの一環として,過去に経験したPBLについても振り返ってもらった.結果,当時の成果物が手元にない状況でも,その内容やそこでの学びの記憶を誘発できることが示唆された. 申請時はシステムの実現において受講者が知的財産権を所有する成果物の一定の活用を想定していたが,(1)を踏まえ,現状ではその形態のシステムの利用は限定されることが判明した.以上より,上述の問いの解に繋がる,教育現場での実運用に耐えるシステム開発の要求定義を明確化できたといえる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題が開始された昨年度から社会がコロナ禍に見舞われ,本研究課題は人を対象としたシステムの開発を目的としていることから,研究遂行において人の移動や接触の制限のあおりを大きく受ける状況下にある.実際に,初年度に予定していた高校での現地調査は今年度も実施できていない. しかし,研究実績の概要で示したように活動は着実に進展している.当初計画では今年度に予備実験を通したシステムの改修を予定していた.現時点ではシステムの開発に至っていないが,今年度の活動で得られた知見は実運用できるシステムの完成形態に繋がるものであり,これは改修に相当する.そのため,最終年度である次年度でのシステム開発および実験は現実的なスケジュールといえる. また,今年度に2件の対外発表も行い,本研究課題の途中成果を社会に還元している.以上より,おおむね順調に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の活動で得た知見に基づき,学習者のメディア性を高める(高校でのPBLについての説明の効果を高める)システムを開発して,その有効性を検証する. 研究実績の概要でも述べたように,申請時には説明の効果を高める工夫として,学習者が知的財産権を有する高校でのPBLの成果物の一部を,システム中で使用することを想定していた.しかし,PBLの知的財産権にまつわる現状を踏まえると,それが制約となり上述の形態では教育現場での実運用は難しい.いっぽう,同概要で述べたように,記憶を誘発することで,当初の想定と同等の効果が得られることが示唆された.これを踏まえてシステムの開発を行い,その後の検証・評価につなげる. これにより,本研究課題の学術的問い「学習者が大学のPBL科目において,高校までに経験してきたPBLで学んだことを転移可能な知識として説明する支援を行うシステムをいかに構築するのか」に答える.
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Causes of Carryover |
研究代表者および学生スタッフによる高校でのPBLの実践の現地調査を起点に,その結果を踏まえて設備備品を整える方針であった.しかし,新型コロナウイルス感染拡大によって現地調査を実施できておらず,また,海外渡航も制限され海外での成果発表が行えない状況であったことが、各研究経費に次年度利用額が生じた理由である. 本研究課題が掲げる「学習者が大学のPBL科目において,高校までに経験してきたPBLで学んだことを転移可能な知識として説明する支援を行うシステム」の開発に必要な機器の購入で使用する.
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Research Products
(2 results)